家を出る決意をする
沙織の力強い言葉に背中を押され、私はついに「うん」と頷きました。
「よく決意したね。なるべく早く家を探して出ていこう。私も協力するよ」
さて、別居を決意したのはいいけれど、直哉は家にいると私が怯えてしまいます。だから、直哉が仕事で遠方に出張する日を狙うことにしました。彼に会って話す気力なんて、今の私にはありません。事前に連絡したら、確実に怒鳴り散らして荷物を運び出させないでしょう。
そうして迎えた別居前夜。静まり返ったリビングで、眠っているゆりの顔をそっと撫でながら、私は心の中で直哉に別れを告げました。
「私はもう、あのモラハラ夫の所有物じゃない」
私の心の中では、すでに新しい生活が始まっていました。あとは、実行するだけです。
あとがき:毒から離れるための最初の一歩
長い間、毒のような言葉と支配に心を蝕まれてきた楓にとって、「別居」はまさに人生をかけた決断です。モラハラやDVの被害者は、多くの場合、加害者の「お前のせいだ」という言葉を内面化し、自分自身を責めてしまいます。
楓が直哉に怯えながらも、娘の笑顔という「光」と、幼馴染の沙織という「味方」を得て、静かに「もうあなたの所有物じゃない」と決意する場面は、勇気ある最初の一歩です。この静かな決意が、今後の戦いの礎となります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

