熱が出たときに関節が痛む経験をしたことがある方は少なくありません。発熱と関節痛が同時に起こる場合、その背景にはウイルスや細菌による感染症、自己免疫の異常、あるいは炎症性疾患など、さまざまな原因が関係しています。感染症は、体内に侵入した病原体に対して免疫が反応し、炎症性の物質(サイトカイン)が放出されることで関節の痛みが生じます。一方で、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患は、発熱を伴って関節に炎症が起こることもあります。発熱に伴う関節痛は一過性のこともありますが、なかには重い病気の初期サインであることもあります。
この記事では、発熱と関節痛が同時に生じるメカニズムや主な原因、注意が必要な症状、そして日常生活でできる対処法を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
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関節痛と発熱が同時に起きるメカニズムと原因

関節痛と発熱が生じる病気にはどのようなものがありますか?
関節痛と発熱が同時に起きる背景には、感染症・自己免疫疾患・代謝性疾患などが関係します。感染症は、インフルエンザや風疹、パルボウイルスB19、EBウイルス、チクングニア熱、デング熱などが代表的で、発熱とともに全身の関節や筋肉が痛みます。細菌による化膿性関節炎は、高熱に加えて関節の腫れや強い痛みが出ます。感染以外は、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど免疫が過剰に働く病気や、痛風・偽痛風などでも発熱と関節痛が同時に起こります。
感染症によって関節痛と発熱が同時に起きるメカニズムを教えてください
ウイルスや細菌が身体に入ると免疫細胞が活性化し、炎症性の物質(サイトカイン)が放出されます。これらが発熱や関節の痛みを引き起こします。インフルエンザは全身の防御反応が強まり、節々が痛むような症状が出やすく、数日で治まることが多い傾向です。チクングニア熱やデング熱など一部のウイルスは関節に強い炎症を起こし、痛みが長引くこともあります。通常は一過性ですが、免疫反応が強く続くと関節の違和感が残ることがあります。
感染症以外で関節痛と発熱が同時に起きる理由を教えてください
関節リウマチや全身性エリテマトーデスは、免疫が自分の組織を攻撃することで慢性的な炎症が起こり、発熱と関節痛が続きます。複数の関節が痛み、倦怠感など全身症状を伴うこともあります。痛風・偽痛風は関節内に結晶が沈着して急な炎症が生じ、発熱がみられます。さらに、細菌が関節内に侵入する化膿性関節炎や、感染後の炎症が残るウイルス関連関節炎でも同じように症状が出ます。発熱や痛みが長引くときは、感染症以外の病気も考えることが必要です。
発熱と同時に起きる関節痛の特徴と生じやすい部位

感染症によって生じる関節痛の特徴を教えてください
感染症による関節痛は、発熱と同時に全身の関節が広く痛むことがよくみられます。ウイルスが原因の場合、関節そのものが腫れたり赤くなることは少なく、押したときの痛みや動かしづらさが中心です。症状は一時的で、熱が下がるのと一緒に数日から1週間ほどで軽快することが多いです。デング熱やチクングニア熱のように、関節炎に近い強い痛みが続く感染症もありますが、多くは自然と回復に向かいます。
風邪で痛くなりやすい関節はどこですか?
風邪の際は、全身のだるさや筋肉痛と一緒に関節の痛みを感じることがあります。膝、肘、肩、腰など大きな関節に違和感が出やすく、重だるい痛み方が特徴です。発熱の過程で炎症性物質が増えることで、関節の周囲に軽い炎症が及ぶためです。
インフルエンザや新型コロナウイルスで痛みやすい関節を教えてください
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症は、発熱と同時に全身の関節や筋肉が痛みやすく、腰・膝・肩・肘など大きな関節に症状が目立ちます。ウイルスに対して免疫反応が強く働くことで、炎症性物質が増え全身の痛みにつながります。インフルエンザは「節々が痛い」と表現される痛み方が多く、熱が下がると改善に向かいます。一方で新型コロナ感染後は、関節の違和感が数週間続くことがあり、回復後の免疫反応が影響すると考えられています。
感染症以外ではどの関節が痛みますか?
感染症以外が原因のときは、病気ごとに痛みやすい関節が異なります。
関節リウマチは手指や手首、膝などさまざまな関節に左右対称の痛みと腫れが起こり、朝のこわばりを伴います。
痛風は足の親指の付け根に激しい痛みが出やすく、急な発熱と強い腫れを伴います。偽痛風は膝や手首に痛みが出ることが多く、特に高齢の方にみられます。
全身性エリテマトーデスは複数の関節に軽い腫れや痛みが出て、発熱や倦怠感を伴うことがあります。これらは慢性的な炎症を背景とするため、感染症のように短期間で治まるものではありません。

