「橋本病」を発症したら注意が必要な「食べ物」とは?【医師監修】

「橋本病」を発症したら注意が必要な「食べ物」とは?【医師監修】

橋本病の管理において、適切な食事療法は薬物療法と同様に重要な役割を果たします。特にヨウ素摂取量の調整やセレンを含む食品の摂取は、症状の改善や病気の進行抑制に寄与します。日本の食事には海藻類が多く含まれるため、ヨウ素の過剰摂取に注意が必要な一方で、抗酸化作用のある栄養素の積極的な摂取が推奨されます。

墨屋 貴大

監修医師:
墨屋 貴大(医師)

【経歴】
国際医療福祉大学病院にて2023年4月から2025年3月まで初期臨床研修を修了し、幅広い診療科における臨床経験を積んできました。
その後、2025年7月より東京大学大学院 医学系研究科 免疫学教室(高柳研究室)に所属し、免疫学分野の基礎研究に従事しています。臨床で得た視点をもとに、免疫の仕組みと疾患との関わりを解明し、再生医療や先進的治療法の発展につなげることを目指しています。

橋本病に良い食べ物の基本知識

橋本病の管理において、適切な食事療法は薬物療法と同様に重要な役割を果たします。栄養バランスの取れた食事は症状の改善や病気の進行抑制に寄与します。

ヨウ素摂取量の調整

ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に必要不可欠な栄養素ですが、橋本病の場合は摂取量に注意が必要です。過剰なヨウ素摂取は甲状腺の炎症を悪化させ、症状を増悪させる可能性があります。日本の食事には海藻類や魚介類が多く含まれるため、意識しなくても十分なヨウ素を摂取していることが多いのが現状です。
橋本病患者さんにおすすめされるヨウ素摂取量は、健康な成人の推奨量よりも少ない150〜300μg程度です。昆布やわかめなどの海藻類、海産物の摂取は週に2〜3回程度に控えめにし、昆布だしの使用も控えることが推奨されます。ただし、完全にヨウ素を避ける必要はなく、適度な摂取は必要です。
ヨウ素含有量の把握が困難な場合は、管理栄養士や医師に相談することをおすすめします。定期的な血液検査で甲状腺機能をモニタリングしながら、食事内容を調整していくことが大切です。

セレンを含む食品の重要性

セレンは甲状腺の抗酸化機能に重要な役割を果たすミネラルです。橋本病では甲状腺に慢性的な炎症が起こっているため、抗酸化作用のあるセレンの摂取は症状改善に有効とされています。セレンは甲状腺ペルオキシダーゼという酵素の構成成分でもあり、甲状腺ホルモンの合成にも関与しています。
セレンが豊富に含まれる食品には、ブラジルナッツ、魚介類、肉類、卵、全粒穀物などがあります。特にブラジルナッツは極めて高いセレン含有量を誇りますが、過剰摂取は毒性があるため1日1〜2個程度に留めることが重要です。魚類では鮭、まぐろ、いわしなどがセレンの良い供給源となります。
セレンの推奨摂取量は成人で25〜30μg程度です。サプリメントでの摂取も可能ですが、食品からの摂取が安全で効果的です。セレンの摂取により甲状腺の炎症が軽減され、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の値が改善する報告もあります。バランスの良い食事を心がけることで、自然にセレンを摂取することができます。

まとめ

橋本病の食事療法では、ヨウ素摂取量を適切にコントロールし、セレンなどの抗酸化作用のある栄養素を積極的に摂取することが重要です。管理栄養士や医師と相談しながら、定期的な血液検査で甲状腺機能をモニタリングし、個人に適した食事内容を調整していくことが症状改善の鍵となります。バランスの取れた食事を心がけることで、自然に必要な栄養素を摂取できます。

参考文献

甲状腺の病気と検査(国立がん研究センター)

甲状腺機能低下症(厚生労働省)

重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省)

甲状腺ホルモン不応症(指定難病80)(難病情報センター)

配信元: Medical DOC

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