恋愛し始めのときって、相手にいい印象を与えたくて、つい背伸びしてしまうものだと思います。20代のころ、夫と交際していたときの私もそうでした。「家庭的な彼女」だと思われたくて、週末、彼の家で手料理を振る舞う日々。肉じゃがに豚汁、オムライス、からあげ……。いかにも家庭的な女性をアピールできそうな定番料理で、彼の胃袋を掴もうと頑張っていました。ところが、当時の彼の評価は……。


“家庭的な彼女”になりたかった
夫と交際を始めた当時、彼は典型的な独身男性のひとり暮らしという感じでした。自宅の冷蔵庫の中身といえばビールとコンビニ弁当ばかり。「私が支えてあげなくちゃ」という使命感が湧いてきて、週末に彼の部屋で手料理を振る舞うのが日課になっていました。
肉じゃがに豚汁、オムライス、からあげ……。いかにも家庭的な女性をアピールできそうな定番料理で、彼の胃袋を掴もうと頑張っていた私。今思えば、「料理上手な彼女」気取りだったと思います。
まさかの発言に場が凍る
ある日のこと。彼と共通の友人たちと集まったとき、私の手料理の話題に。友人の1人が何気なく「○○(私)が作る料理で、何が一番好きなの?」と彼に質問しました。
私は内心、「これは私が“料理上手で、家庭的な彼女”だと思われるチャンス!」とほくそ笑みながら、「肉じゃがかな? それともオムライス?」なんて予想しつつ、彼の答えを待っていました。
そんな私の淡い期待を打ち砕いて、彼が即答したのは、まさかの「サラダ」。
一瞬、時が止まった感じがしました。私が作るサラダというと……キャベツを切って市販のドレッシングをかけただけの簡単なもの。たしかに毎回「一応野菜も」的な感じで用意してはいたけれど、それを「一番好きな手料理」と言われるとは思っていませんでした。
友人たちも「え? サラダ? サラダ(笑)」とじわじわツボに入り始め、盛大に笑い始めました。彼は本心で私がつくるサラダが好きで言ってくれたようでしたが、当時「料理上手な彼女」気取りだった私は、正直、穴があったら入りたい気分でした。
以来、そのメンバーと顔を合わせるたびに「最近サラダ作った?」と言われるように。もはや「私=サラダの人」という不本意なキャラが定着してしまいました。

