「電気で痛みを再現」 副知事の答弁が波紋
「痛みを分かれば、優しくなれるのか?」。東京都が検討している女性活躍推進条例案の中で、男性管理職に「生理痛の疑似体験」を促す方針が示され、ネット上で物議を醸しています。「理解が進む良い試み」という声がある一方で、「拷問のようだ」「パフォーマンスに過ぎない」といった厳しい批判も殺到。なぜこの施策はこれほどまでに炎上したのでしょうか。
議論の発端となったのは、2025年12月10日の都議会での松本明子副知事の答弁です。
東京都が検討中の「女性活躍推進条例案」において、事業者の責務として「男性管理職への生理痛疑似体験の促進」を指針に盛り込む方針が示されました。
この体験は、下腹部にEMS(筋電気刺激)パッドを装着し、電流を流すことで子宮収縮のような痛みを人工的に再現するものです。
都としては、女性特有の健康課題への理解を深め、働きやすい職場環境を作る狙いがありますが、ネット上では「行政が痛みを推奨するのか」と大きな反発を招いています。
SNSの多くは「否定的」その理由は?
報道直後からSNSでは批判が殺到。SNS分析によると、関連投稿の9割以上が否定的な意見で占められています。
「痛みを強制するのは拷問と同じでは?」
「生理痛は個人差が大きいのに、一律の電気刺激で理解した気になられても困る」
「『じゃあ女性も男性の痛みを体験しろ』という不毛な対立を生むだけ」
特に、「痛みを共有すること」よりも「休暇制度や人員配置の見直し」といった実質的な制度設計を優先すべきだという意見が目立ちます。
また、女性の生理痛の強弱は人それぞれ。歩けないほど酷いひとから、まったく痛みを感じない人もいます。
専門家からは「電気刺激による筋肉痛と、内臓痛である生理痛は質が異なる」という指摘もなされています。生理痛はプロスタグランジンという物質による子宮収縮(内臓痛)ですが、EMSは腹筋への電気刺激(体性痛)であるため、厳密には「種類の違う痛み」との指摘もあることは看過できません。

