「中性脂肪を下げる薬」に痩せる効果はない?医師が副作用と市販薬との違いを解説!

「中性脂肪を下げる薬」に痩せる効果はない?医師が副作用と市販薬との違いを解説!

中性脂肪の薬はどんなものがあるのかご存じですか?メディカルドック監修医が薬の種類や副作用、市販薬やサプリの効果などを解説します。

伊藤 陽子

監修医師:
伊藤 陽子(医師)

浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血液中の中性脂肪が高いとどんな悪影響がある?

中性脂肪が高い状態が続くと、皮下脂肪や内臓脂肪などの体脂肪が蓄積しやすくなります。中性脂肪が高くなる原因の一つが消費エネルギーを摂取エネルギーが上回っている状態です。内臓脂肪が過剰に蓄積した状態は、肥満症やメタボリックシンドローム、生活習慣病などを発症するリスクを高めます。また、動脈硬化が進行しやすくなり、狭心症などの心疾患や脳血管疾患を発症するリスクも高まります。

中性脂肪とは?コレステロールとの違い

中性脂肪とは脂質の一種です。体内に存在する脂質の大部分は中性脂肪です。食事に含まれる糖質や脂質、たんぱく質などの栄養素はエネルギー源になります。身体を動かすためにエネルギーが必要です。しかし、使われなかったエネルギーは中性脂肪に変換され体脂肪として蓄えられます。中性脂肪とコレステロールはどちらも脂質ですが、体内での働きが異なります。中性脂肪は身体を動かすエネルギー源になる・脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の吸収を助ける・体温を維持するなどです。
コレステロールはエネルギー源にはなりません。コレステロールは細胞膜やホルモンや胆汁酸の材料になります。

中性脂肪の数値が高いことによる健康リスクとは?

中性脂肪の数値が高くても自覚症状が現れることは少ないです。自覚症状がなくても中性脂肪が高い状態が続くと、肥満症やメタボリックシンドローム・脂肪肝・動脈硬化などを発症するリスクが高まります。また、中性脂肪が高すぎると急性膵炎を起こす場合があります。

薬で中性脂肪を下げると痩せるのか?

薬で血液中の中性脂肪を下げても、体脂肪が減るわけではないため、痩せる効果はあまり期待できないと考えられます。

中性脂肪の治療薬に体重減少効果はあるのか?

中性脂肪の治療薬は、血液中の中性脂肪濃度を低下させる作用があります。血液中の中性脂肪の濃度を下げても体脂肪を分解する作用があるわけではありません。中性脂肪の治療薬を服用するだけでは、体重減少効果は期待できないと考えられます。

中性脂肪低下と肥満改善は関係あるのか

食べ過ぎは過剰なエネルギー摂取となり、体の中で消費されず余ってしまいます。体の中で使われずに余ったエネルギーは、中性脂肪に変換され、肝臓や体脂肪として体に蓄えられます。過剰なエネルギー摂取の食生活が続くと、体内の脂肪が増え、体重増加につながり肥満になりやすいです。
余分なエネルギーが中性脂肪に変換されると、まず血中の濃度が上昇し、次に体脂肪として蓄えられます。
中性脂肪の高値や肥満の改善には、食事制限や運動習慣の改善が必要です。摂取エネルギーより消費エネルギーが増えると、最初に血液中の中性脂肪が使われ、次に体脂肪が使われます。
体脂肪を1kg減らすには、7000kcal減らす必要があるといわれています。そのため、血液中の中性脂肪が低くなっても、すぐに肥満が改善されることは難しいでしょう。肥満を改善するには、適正な食事量や運動習慣の継続が必要です。

配信元: Medical DOC

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