個人差はあるけれど、生理は産後2ヶ月~1年の間に再開することが多い
「産後の方にとって、ご自身の生理がいつ再開するのかというのは、気になるところだと思います。
ですが、かなり個人差が大きいものなので、『通常は〇ヶ月から再開します』と安易に言うことができません。
教科書的に申しますと、産後2ヶ月~1年の間に再開することが多いです。
また授乳をしていない場合は、比較的に再開が早く、一方、母乳育児中、特に完全母乳で頻回授乳を続けている場合は、産後1年以上生理が来ないということも珍しくはありません。
これは、授乳中に分泌されるプロラクチンというホルモンが、排卵を抑制するためです。ちなみに、たとえ生理が来てなくても排卵はしている場合もあるため、妊娠する可能性も。家族計画のもと避妊の有無も検討することが必要です。
産後の生理が開始したからといって、しばらくは生理不順になりやすく、月経周期や経血量が安定しないことも多々あります。
これも仕方のないことです。多くの場合、再開後3~4ヶ月程度で、少しずつ通常の周期に戻っていきます」
生理の時は優先順位の高いもの以外はがんばらない
「産後の生理が産前と同じスタイルかというと、そうでもありません。
これもまた個人差が大きいのですが…さほど変化のない方もいれば、『生理痛がなくなった』『生理が楽になった!』という方も。
反対に、『生理が重くなった』『PMSが悪化した』『生理に伴う不調が増えた』なんていう方も多くいらっしゃいます。
これらは、ご自身のホルモンバランスの状態や、肉体的・精神的ストレスの有無など様々な要因が考えられつつも、原因を一つに絞ることは難しいといわれています。
ここまで読んでいただいた方の中には、『なんでもかんでも個人差なのね…』と思われるかもしれません(笑)
ですが、女性の身体、特にホルモンとの関係性はとても複雑であり、正解もない世界だからこそ、『生理を通して、自分の心身と向き合ってみる』という感覚が、我々女性たちにとって必要なのではないかとも考えています。
私自身の話をしますと、産後から排卵痛が出現したり、PMSがひどくなったりました。
辛い症状が伴うと、どうしても生理を悪者にしたくもなりますが、『排卵までわかるようになったんだ、なんかすごい(笑) PMSもしんどいけど、これは自分自身をもっと労わってっていう声かも!』と前向きに捉えることにして、温活(腹巻、ヨモギパッドなど)をしたり、意識的に休息をとるようにしたり、自分の子宮ちゃんのご機嫌をとるような行動を日々試行錯誤中です。
生理痛が重かったり、量が多かったりした時は、とにかく無理をしないこと!
そして『自分にとって心地よい過ごし方』を意識して過ごすことです。
産後、育児や家事、仕事などをしながらの生理は、症状の有無に関係なくとも相当に大変なことです。だからこそ、自分の中で『どうしてもやらなくてはいけないこと』と『力を抜いてもいいこと』のそれぞれの優先順位を立てながら、ご自身の体調を一番大切に考えてみてください。
『ぽかぽか、ふわふわな子宮を作る』といったイメージで、全身の血流をよくし、適度に心身を緩めるようなアプローチがオススメです。
(具体的に何がよいかなどは、これまた個人差がありますのでぜひご相談ください!)
最後に、婦人科受診の目安をお伝えします。
産後1年を過ぎている場合、授乳を中止してから3ヶ月以上経過している場合、生理再開後でも夜用ナプキンが2~3時間で溢れるほどの大量出血、鎮痛剤を定期的に飲まないと日常生活が送れないほどの強い生理痛がある場合などは、早めに医師に相談してください。
子宮内膜症や子宮筋腫、他のトラブルがないかしっかり調べたうえで、上手に生理とお付き合いしていく方法を見つけていきましょう。
上記に当てはまらずとも、『何か変』といった些細な違和感や不安なことなどがあれば、一人で抱え込まず、お近くの婦人科/産婦人科、地域の助産師などを頼ってください。
生理のことって、他人と比べようもなく判断に迷うこともあるかもしれませんが、自分の身体について一番気付けるのは『自分』です。
どうかご自身の感覚を大切に、大切な生理とも向き合っていただければよいと思います」(岸本志織さん)
「そのまんまでいいんだよ」って、自分に花丸をつけてあげて。妊娠・出産・子育てをがんばるあなたへの神アドバイス
確かに症状が辛いあまりに生理がなければどんなに楽かと思ったこともありました。けれど、女性の身体にとって大事な存在。自身の身体を振り返り、大切にするいい機会でもあるのですね。
(取材・文/橋本真理子、たまひよONLINE編集部)
岸本志織さん

PROFILE)
助産院fillme代表(出張訪問/オンライン型)。母乳外来や育児相談のほか、ベビーマッサージ、タッチケア、性教育などにも力を入れている。「自己受容できる子どもたちで溢れた社会」にすべく、まずはママや女性がご機嫌でいられるようなサポートを大切に、家族の暮らしごとに寄り添う地域助産院を目指している。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2025年6月の情報であり、現在と異なる場合があります。
