視神経炎とは、名前の通り視神経に炎症が起こることで、視覚や視力の低下がみられる病気です。
これといった原因が見当たらず突発的に発症することが多いため、症状に不安をおぼえる方も少なくないでしょう。
この記事では視神経炎の主な症状や原因と考えられているものについて詳しく解説していきます。
※この記事はメディカルドックにて『「視神経炎」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
視神経炎の症状と原因

視神経炎はどのような病気でしょうか?
視神経は眼球を覆うようにある網膜に集まった光の情報を脳へ送り込む神経を指します。視神経炎とは、視神経になんらかの原因で炎症・障害を起こす病気です。視神経炎は主に下記の2つに分かれます。視神経系乳頭炎
球後視神経炎
視神経系乳頭炎は眼底検査ですぐに見つけることができます。
反対に、眼球の裏側で炎症が起こる球後視神経炎は初見では分からないこともあるため視力検査だけでなく、CTやMRI検査が用いられるケースもあります。視神経炎が繰り返される場合は、多発性硬化症という難病である可能性も否定できません。
症状を教えてください。
視神経炎の主な症状は、視力の低下・視野が欠ける(狭くなる)・視界にモヤがかかったように白く霞んで見えるなどです。テレビの文字や人の顔など、これまで見えていたものが急に見えにくくなるなど、比較的わかりやすい症状が現れます。そのため、症状が似ている眼精疲労と間違えられることも多いです。十分な休息や睡眠をとっても改善がみられない場合には、視神経炎が考えられるでしょう。他にも赤や緑が霞んで見えるようになる色覚異常や、目の奥に傷みを生じるケースもあります。このような症状が突然現れた際は、自己判断をせずに一度眼科を受診するようにしましょう。
初期症状を教えてください。
視神経炎の主な症状について前述しましたが、視力の低下や視界の霞みが自覚できる初期症状といえます。普段と見え方が異なる・視界にモヤがかかっている感じが治まらないなど違和感をおぼえた際は、ただの疲れと軽視せずに視神経炎を疑いましょう。
発症の原因は何でしょうか?
現時点では「これが原因です」と言い切れるものはありません…。自己免疫性の病気とされる多発性硬化症や視神経脊髄炎といった難病が原因で引き起こされることもあれば、免疫システムの異常で元々体の中に存在している抗体が自身の視神経を攻撃して炎症を起こすケースも考えられています。他にも、感染症・副鼻腔炎・薬物・外傷などが原因とされることもありますが、原因不明の突発性であることがほとんどです。
編集部まとめ

視神経炎は視神経(網膜に取り込んだ情報を脳に送り込む神経)になんらかの原因で炎症が起こる病気です。
軽度であることが多く自然治癒も望めますが、ステロイドによる治療を行った際の副作用や症状の悪化が著しい場合には注意してください。
どの病気にも共通して言えることですが、視神経炎も早期発見・早期対応が大切です。
見え方に違和感がある・色が霞む・視界が狭くなるなどの症状が現れた際は、自己判断せずに早めに眼科を受診しましょう。
参考文献
視神経炎(日本小児眼科学会)
レーベル遺伝性視神経症(難病情報センター)

