更年期障害のその他の症状
更年期障害には、ホットフラッシュや気分の変化以外にも、さまざまな身体の不調が現れます。これらは見過ごされやすい症状ですが、生活の質に大きく関わってきます。ここでは、泌尿器系や関節・筋肉の症状について解説します。
関節痛・筋肉痛と運動器系の変化
更年期には、手指のこわばりや膝・腰・肩の慢性的な痛みなど、関節や筋肉に違和感を覚える方が少なくありません。これらはエストロゲンの減少により、関節周囲の組織や筋肉の柔軟性が低下するためです。関節軟骨や腱、靭帯などの結合組織の修復力が低下することで、炎症が起こりやすくなり、筋力の低下が関節への負担を増やすことで、痛みを引き起こす要因となります。
関節痛や筋肉痛は、日常生活の動作を制限し、活動量の低下につながることがあります。痛みを避けようとして動かさないでいると、さらに筋力が低下し、症状が悪化する悪循環に陥ることもあります。適度な運動やストレッチを続けることが、症状の改善と予防に有効とされています。
ただし痛みが強い場合や、腫れや変形を伴う場合には、関節リウマチなどの疾患の可能性も考えられるため、医師の診察を受けましょう。
泌尿器・腟の乾燥や頻尿
泌尿器系や生殖器系にも変化が現れます。腟の乾燥感や性交痛、頻尿や尿漏れといった症状は代表的です。これらの症状もエストロゲンが減少することで起こります。
腟や膀胱の粘膜が薄くなり乾燥しやすくなることで、腟内の自浄作用が低下し、細菌感染が起こりやすくなります。また膀胱や骨盤底筋の機能も弱くなるため、頻尿や尿意切迫感、尿漏れが起こりやすくなります。特にくしゃみや笑った拍子に尿が漏れる腹圧性尿失禁は、更年期以降の女性に多く見られる症状です。
これらの症状は、デリケートな問題であるため医療機関で相談しにくいと感じる方も多いですが、治療で改善するケースがほとんどです。骨盤底筋トレーニングや腟用クリーム、漢方薬など、症状に合った方法でケアできます。気になる症状がある場合は、早めに婦人科や泌尿器科に相談しましょう。
まとめ
更年期障害は、女性のライフステージにおいて避けて通れない時期ですが、適切な知識と対応により、症状を軽減し生活の質を保つことが可能です。症状の始まる時期や現れ方には個人差がありますが、早期に気づき、専門の医師に相談することが重要です。ホルモン補充療法、薬物療法、漢方薬など、多様な治療選択肢があるため、自身の体質や希望に合った方法を選ぶことができます。症状を我慢せず、医療機関で相談し、前向きに更年期を乗り越えていきましょう。
参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット「更年期障害」
日本産科婦人科学会「更年期障害」
日本女性医学学会「ホルモン補充療法ガイドライン」

