●処分を左右する「犯情」と「要保護性」の判断
今後の処分を決めるにあたって、「犯情」と「要保護性」の判断が重要になります。
犯情(はんじょう)とは、簡単にいえば今回の犯罪がどの程度悪質なものだったか、ということです。被害結果の重さなどもこの事情に含まれます。
要保護性(ようほごせい)とは、再犯のリスクや、更生のために保護処分が必要かどうかということです。
両者の関係性などは色々と議論のあるところですし、犯情については特定少年についての規定(少年法64条1項)があるのですが、難しくなりすぎるので割愛します。おおざっぱに両方が問題となる、と考えて良いでしょう。
●本件ではどう判断されるか
犯情については、「いじめ」の具体的な内容が調査により明らかになるでしょうし、被害の程度としても、たとえばそのために転校を余儀なくされるほどのものであった等の認定がされた場合には、悪質性が高いとして処分を重くする方向に働く可能性があります。
他方で、要保護性について、本件では、たとえば以下のように、保護処分を軽くしたり、審判不開始や不処分となる方向に働く事情がいくつか挙げられます。
まず、社会的制裁を受けている点です。報道による周知や学校からの処分により、本人たちが事の重大さを自覚し、制裁を受けたと評価されれば、処分の必要性が下がったといえます。
次に、環境の変化です。高校3年生の12月という時期を考えると、まもなく卒業を迎え、事件が起きた寮や部活動という環境から離れることが確定しています。自然と環境調整が行われることが期待できるため、あえて保護処分を行う必要性が低いと判断されやすくなる可能性があります。
また、事件後の経過も含まれうると思います。事件から約1年が経過する間、在宅のままその他の非行がなく過ごしているということであれば、再犯リスクが低いと判断される可能性があります。
なお、当然ですが、少年事件とは別に、被害少年への損害賠償などは民事上の問題として別途問題となりえます。
(参考文献)※文中で挙げたものの他
「少年事件マニュアル - 少年に寄り添うために」(2022年7月、日本評論社/福岡県弁護士会子どもの権利委員会)
「少年事件重要判決50選」(2010年10月、立花書房/廣瀬健二)
「ビギナーズ少年法 第3版補訂第2版」(2023年5月1日、成文堂/守山正、後藤弘子)
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

