氷と雪におおわれた世界・南極には、まだ知られていない秘密がたくさんあります。氷の下に広がる湖、100万年前の空気、そしてたくましく生きる生き物たちなど、不思議がたくさん!
12月14日の「南極の日」を迎えるにあたり、親子で「へえ!」と楽しめる南極のふしぎをのぞいてみましょう。
南極ってどんなところ?
地球の一番南にある氷の大陸
南極は、地球の一番南にある大陸です。
面積は約1,400㎢といわれており、その広さは日本の約36倍!
オーストラリア大陸よりも大きく、広さでは世界で5番目です。
とはいえ、南極の広大な大地のほとんどは、厚い氷におおわれています。
氷の厚さは、平均で約2,000~2,500m。
場所によっては4,000m以上もの厚さになることもあります。
地球上にある氷のほとんどが南極にあり、その量は地球上の淡水の約70%を占めているともいわれているんですよ!
もし南極の氷がすべて溶けてしまったら、世界中の海面が 約60m上昇する という研究もあります。
参考:環境省_南極キッズ
地球上で最も寒い場所
日本の冬の寒さは厳しいことで知られていますが、南極の寒さは世界一です。
公式に記録された最低気温は、1983年にロシアのボストーク基地で観測されたマイナス89.2℃!さらに、人工衛星による観測では、マイナス94℃という超低温が記録されたこともあります。
ちなみにマイナス30℃とはどのくらい寒いのかというと、はいた息が凍ってしまうほど!
マイナス89.2℃にもなると、人間は数回呼吸するだけで肺出血を起こしてしまうのだとか。
そのため南極で観測を行う科学者たちは、呼吸する前の空気を暖める特別なマスクを着用して活動しています。
参考:環境省_南極キッズ
参考:地球上で最も寒い気温「マイナス98度」 南極で記録 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
参考:地球の最低気温を更新、-94℃、南極の高地 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
どの国のものでもない特別な大陸
1959年に結ばれた「南極条約」によって、南極は 科学調査や平和利用のために使うこと が決められました。すなわち南極は、世界のどこの国にも属しません。
この南極条約には現在、50以上の国が参加しており、日本もその中の1つです。条約によって南極は平和的な科学調査の場として共有されており、軍事利用が禁止されています。
南極大陸には定住している人はいません。しかし世界各国からやってきたたくさんの研究者たちが地球環境の観測や研究を続けています。
参考:南極地域の環境の保護に関する法律の制定について|環境省
【南極トリビア】南極の生き物編
ペンギンのパラダイス
南極といえば、多くの人が最初に思い浮かべるのがペンギンではないでしょうか。
映画や絵本などでも、氷の上でペタペタ歩く姿がかわいいですよね。
しかし実際に南極大陸そのものに住んでいるペンギンは、コウテイペンギンとアデリーペンギンの2種類だけ。
周辺の島々まで範囲を広げると、ジェンツーペンギン、ヒゲペンギン、マカロニペンギンなどもいますが、厳しい南極大陸の環境で子どもを産み育てることができるペンギンは少ないのです。
なお、同じ寒い地域でも、ペンギンは北極には生息していません。
ペンギンは南半球で進化した鳥で、赤道を越えて北半球へ移動することができませんでした。
また北極には、大きくて強いホッキョクグマがいます。ペンギンが赤道を越えることができていたとしても、安心して暮らすのは難しかったでしょう。
南極にはペンギンを襲う陸上の捕食者がほとんどいません。
だからペンギンは安心して繁殖できるのです。
参考:環境省_南極キッズ
参考:【ペンギンが北極にいない理由】 - デジタル岡山大百科 | レファレンスデータベース
生息する唯一の昆虫は「ユスリカ」
南極はあまりにも寒く、ほとんどの昆虫は生きることができません。
唯一生息しているのは、「ナンキョクユスリカ」です。
体長わずか2~6mmという小さな虫ですが、南極大陸最大の陸生動物でもあります。
ナンキョクユスリカはハエの一種ですが、羽が退化しているため飛ぶことはできません。
体のつくりは南極で暮らすために最適化されており、「体の水分の70%が失われても生き続ける」「体液が凍っても大丈夫」という特性を持ちます。
ナンキョクユスリカの成虫の寿命はわずか5~10日間ほど。
しかし幼虫の期間は2年間もあります。
2回の夏を幼虫として過ごすことで、十分に栄養を補給してから成虫になるのです。
ナンキョクユスリカは約3,000万年以上も前から南極に生息しており現在のような進化を遂げたのだとか。
昆虫の中で最も小さなゲノム(遺伝情報)を持つことでも知られており、究極のミニマリストなどとも呼ばれています。
参考:南極最大の陸上動物は自らを「凍結」させて生きる6mmの昆虫 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

