博也の携帯から「デート」の文字を発見したアンリは、さらに彼の「削除済み」フォルダから、制服を着た女性の写真を発見。ラブホテル密集地域での滞在履歴も確認し、不倫を確信するのでした―――。
「次のデート」という文字
「次のデートはどうする?」
そのメッセージを見た瞬間、妊娠中の吐き気とは違う、どろりとした嫌悪感が胃の底から込み上げてきます。トーク画面の相手は、見たことのないアイコンの女の子。名前も知らない人。
ふざけないでよ、と思いました。別に、大人なのだから女性と食事に行ったり飲みに行ったりすることくらいはあるでしょう。でも、この「デート」という単語は、どうしても許せなかった。この言葉が持つ響き、この語彙を私以外の女性に向けている…その事実がつらいのです。
私たちは夫婦で、今まさに私は2人目の子どもを妊娠しているというのに。
嫌な勘が冴えわたる
怒りよりも先に、裏切られたことに対する、深いため息が漏れそうになりました。近くに夫本人が寝ているから、声は出さなかったけど。
女の勘って、本当に恐ろしいですね。私は手が震えるのを抑えながら、トーク履歴の隅々まで探りました。すると、夫は最近、その女の子と会うためのスケジュールを調整していました。しかも、その日はつわり中の私が実家に戻り、初めて博也が一人で過ごす平日の夜。なんて用意周到なんでしょう。
さらに、私は夫のカメラロールを探り「削除フォルダ」を確認しました。そこにあったのは、まさに衝撃的な写真。女の子が、制服をきてモデルようなポーズをしているのです。博也がこの写真をなぜ保存しているのでしょう。

