帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、成人以降に再び発症する病気です。片側の身体に赤い発疹や水ぶくれが帯状に現れ、強い痛みを伴います。皮膚の症状が治まった後も神経の炎症が残り、長く痛みが続くことがあり、仕事や家事、睡眠に影響することもあります。本記事では帯状疱疹の症状の軽減や後遺症を予防する効果が期待できる治療薬、痛みをやわらげる鎮痛薬の種類、副作用、予防する方法を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
帯状疱疹の基礎知識

帯状疱疹とはどのような病気ですか?
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水痘(水ぼうそう)が治った後、数十年という長い期間を経て再び発症する病気です。原因となるウイルスは体外へ完全に排除されず、神経節のなかに潜伏したまま生涯にわたり存在します。症状の特徴は、片側の皮膚に帯状に広がる赤い発疹と強い痛みです。発疹は小さな水ぶくれからかさぶたへと変化し、通常は2〜4週間で治まりますが、神経が傷つくと発疹が消えても痛みが長く続く場合があります。顔や眼に出た場合は視力や表情の動きに影響することもあり、早期治療が求められます。
帯状疱疹の原因を教えてください
原因は、水痘にかかったときに体内へ入り込んだ水痘・帯状疱疹ウイルスが、長期間神経に潜伏していたものが再び活動することです。普段は免疫の働きがウイルスを抑えていますが、免疫力が低下すると活動が始まります。
免疫を弱める要因としては、加齢、強いストレス、睡眠不足があります。さらに糖尿病やがんなどの慢性疾患により、免疫機能が下がることも、再活性化のきっかけになると考えられています。
抗がん剤やステロイドなど免疫を抑える薬、移植後の免疫抑制治療も同様です。健康にみえる方でも、一時的な体調不良や生活リズムの乱れで免疫が下がり、発症につながることがあります。
帯状疱疹になりやすい年代や性別を教えてください
発症リスクは年齢とともに上がり、50歳以降で目立って増加します。70歳代以降では発症数の増加に加え、皮疹の治癒後の痛み(帯状疱疹後神経痛)が続きやすい傾向が知られています。性差は大きくありませんが、女性でやや増加傾向があると報告されています。
参照:『帯状疱疹診療ガイドライン 2025』(日本皮膚科学会)
帯状疱疹の治療方法と薬の種類

帯状疱疹のおもな治療方法を教えてください
治療の中心は抗ウイルス薬の全身投与です。発疹の出現からできるだけ早い段階で始めると、皮疹の重症度や痛みを抑えやすく、治癒後に痛みが残る確率も下げられます。発疹出現後72時間以内の治療開始が有効とされ、遅れた場合でも5日以内の開始がよいとされています。痛みが強い際はアセトアミノフェンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を基本として、必要に応じてオピオイドや神経障害性疼痛薬を併用します。免疫機能が低い方、発疹が広範囲に及ぶ方、顔面・眼・耳の領域の合併が疑われる方は、入院や点滴治療を検討します。
帯状疱疹の治療に用いられる薬の種類を教えてください
帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬、鎮痛薬、神経障害性疼痛薬、場合によってはステロイド薬が用いられます。抗ウイルス薬にはアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどがあり、内服や点滴が中心です。近年ではアメナメビルという新しい作用機序をもつ薬も登場しています。
鎮痛薬はアセトアミノフェンやNSAIDsが基本です。神経障害性疼痛薬としてはプレガバリンやガバペンチンがあり、神経に由来する痛みを和らげる目的で使われます。痛みが強いときには医師の管理のもとで短期間オピオイドを併用することがあります。ステロイド薬は顔面神経の麻痺や眼の炎症を伴う場合など、特定の状況で検討されますが、全身状態や感染リスクを考慮して個別に判断されます。
帯状疱疹の治療薬はそれぞれどのような役割がありますか?
抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑制し、皮疹の進行と急性期の痛みを抑える主役です。早期開始ほど効果が確かめられており、腎機能や年齢、合併症に応じて投与計画を調整します。
鎮痛薬は日常生活の質を保つうえで重要で、眠れない痛みや食事がとれない痛みを軽減します。
神経障害性疼痛薬は、刺すような電撃痛や触れるだけで痛む痛覚過敏に有用です。ステロイド薬は炎症や神経浮腫の関与が疑われる場面での選択肢ですが、感染悪化の懸念があるため、適応の見極めが欠かせません。
帯状疱疹の治療薬の副作用を教えてください
抗ウイルス薬では吐き気、頭痛、腎機能への影響が出ることがあります。腎機能が弱い患者さんでは用量や投与間隔の調整が必要です。
NSAIDsは胃の不快感や潰瘍、腎機能への影響が知られており、既往歴や併用薬を確認して選択します。プレガバリンやガバペンチンは眠気、ふらつき、浮腫などが現れることがあり、特に高齢の方では転倒予防のため投与タイミングや開始量を工夫します。オピオイドは便秘、眠気、めまいが代表的で、短期間・少量から開始して効果と副作用のバランスを評価します。
ステロイド薬は血糖上昇や感染リスクの上昇といった懸念があります。

