
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
薬物性肝障害の概要
薬物性肝障害(薬剤性肝障害、DILI)は、薬剤の投与によって引き起こされる肝臓の機能障害です。
肝臓は栄養素の分解・合成や胆汁の生成、有害な物質の解毒作用を担っていますが、薬剤の影響により機能が低下すると、食欲不振や全身のだるさ、黄疸(おうだん)などの症状が現れることがあります。
主な原因は抗生物質や解熱消炎鎮痛薬などの医薬品ですが、市販薬や漢方薬、健康食品、サプリメントでも発症する可能性があります。
薬物性肝障害は、予測可能な場合と予測できない体質による場合に分類されます。体質による肝障害は、さらにアレルギー性と代謝性にわけられます。予測可能な例としてはアセトアミノフェンの大量摂取などがあります。
また、薬物性肝障害は肝細胞障害型(59%)、混合型(20%)、胆汁うっ滞型(20%)に分類され、近年は肝細胞障害型が増加傾向にあります。
薬物性肝障害は投与から30日以内に62%の人が発症する一方、90日を超えてから発症するケースも16%あります。
通常、薬剤の使用中止により症状が改善しますが、必要に応じて他の薬剤を使用した薬物療法が行われます。
薬剤性肝障害で注意するべき点は、症状が現れても投与を継続した場合や、既存の肝疾患がある場合は重症化のリスクが高まることです。重症化すると劇症肝炎に進展する可能性があり、致死率が高くなります。血液透析や肝移植などの高度な治療が必要になるケースもあるため、薬剤使用中に異変を感じた場合はできるだけ早く医療機関に相談することが大切です。

薬物性肝障害の原因
薬物性肝障害の原因は、医薬品の投与や健康食品、サプリメントの摂取などがあります。
薬物性肝障害は抗生物質や解熱消炎鎮痛薬、抗がん剤、漢方薬などの医薬品によって引き起こされることがあります。
2010-2018年の日本各地で集積された症例結果によると薬物性肝障害の原因は、抗生物質と抗炎症薬が11%、抗がん剤が10%、健康食品の摂取が9%を占めると報告されています。

