アカントアメーバ角膜炎の治療
アカントアメーバ角膜炎の主な治療法は、薬物療法や病巣掻爬(びょうそうそうは)です。
ただし現在のところ、アカントアメーバによく効く薬というものは開発されていないため、薬物療法は既存の抗菌薬や抗真菌薬などを数種類組み合わせる手法がとられます。
病巣掻爬では、アカントアメーバに侵された角膜組織を薄く削り取り、物理的に除去します。
アカントアメーバ角膜炎は、早期に発見できれば上記の治療法を組み合わせることによりすみやかに治療できることもありますが、多くの場合は治療は難航し、他の角膜炎に比べても治療に時間がかかる傾向があります。
また、発見が遅れて重症となった場合は、治療後も低下した視力が戻らない恐れがあり、治療法として角膜移植手術が検討されることもあります。
アカントアメーバ角膜炎になりやすい人・予防の方法
アカントアメーバ角膜炎は、外傷などをきっかけに感染する可能性もありますが、日本国内での発症傾向に基づくならば、アカントアメーバ角膜炎になりやすい人は、ソフトコンタクトレンズを日常的に使用している人だと言えます。
特に、コンタクトレンズの適切な取り扱いを怠っている人は発症リスクが高まります。他には、目を強くこする癖のある人や、免疫力の低下している人も注意が必要と言えるでしょう。
コンタクトレンズの取り扱いにおいて、衛生管理にじゅうぶんな注意を払い、適切な使用法を守ることは、アカントアメーバ角膜炎だけでなく、他の角膜感染症や目のトラブルを予防する意味でも重要です。
適正な範囲を超える長時間装用などには特に注意が必要で、コンタクトレンズをつけたままの睡眠、入浴、遊泳などは発症リスクを高める行為となります。また、ソフトコンタクトレンズ本体だけでなく、消毒保存用のケースがアカントアメーバの汚染を受ける例もあります。ケースの定期的な洗浄も含め、コンタクトレンズを正しい手順で取り扱うことが、予防につながります。
ソフトコンタクトレンズの使用中に違和感を感じたら、すみやかに眼科を受診することも大切です。もちろん、定期的に眼科検診を受けることも、効果的な予防法となるでしょう。
関連する病気
角膜びらん角膜潰瘍細菌性角膜炎真菌性角膜炎
ヘルペス性角膜炎
参考文献
厚生労働省「ソフトコンタクトレンズの 適切な管理について」
日本感染症学会「感染性角膜炎診療ガイドライン(第3版)」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「コンタクトレンズの適切な管理について」
公益社団法人日本眼科医会「コンタクトレンズと感染症」
公益社団法人日本眼科医会「角膜感染症」
堀越美枝子他「アカントアメーバ角膜炎の3例」

