
俳優・芳根京子が、ドラマとドキュメンタリーを融合した新感覚の紀行番組「25年目の恋 ~もう一人の芳根京子、ローマへ行く~」(12月14日[日]夜7:00-8:54)/BS-TBS)に出演する。本作は監督2人体制をとり、2つのジャンルを融合。「境界線のあいまいさが見どころ」と語る芳根に、番組の裏話や撮影の感想を聞いた。
■「紀行」と「ドラマ」の魅力を融合させた新感覚の紀行番組
本作は、俳優・芳根京子を主人公にストーリーが展開。俳優という職業、年齢はリアルな芳根そのままに、「もう一人の芳根京子」として作品に出演する。作中の芳根は、叔母が遺した日記と謎の手紙を見つけ、生涯独身だったはずの叔母の知られざる人生を探るため、ヨーロッパへ旅立つ…という物語が描かれる。
「紀行パート」と「ドラマパート」が繰り返されることで、現実とフィクションの境界線があいまいになる演出が本作最大の特徴。芳根がイタリアのグルメや絶景を楽しむ「紀行パート」では素の芳根、叔母の人生を明らかにする「ドラマパート」では、もう一人の芳根として演じ分け、これまでの紀行番組とは違った没入感を味わうことができる。

■「そのままの私で許される、心地の良い時間でした」
「ドラマ」と「紀行」の2パートを演じた芳根に、監督2人が演出する撮影の裏側や、現地での思い出、旅行観について聞いた。
――撮影を振り返った感想をお聞かせください。
事前にチームの皆さんとお食事をさせていただいた時に「その、おいしそうに食べている姿が撮りたいです」と監督に言っていただいてからのスタートでした。
この作品はドラマと紀行の境目がすごくあいまいなところが面白さだと思うので、ドラマパートも、できるだけ素の私に寄せられるといいなと思っていました。二役、どちらも自分なので、お仕事でしたけどそのままの私で許される、すごく心地の良い撮影時間だったなと思います。
――2つのパートの同時撮影は、どのように進んだのでしょうか。
旅が始まった当初は、ラストがどうなるか知らされずに、本当に叔母さんの日記を頼りに旅をしていく状態で始まりました。
セリフも、「歩いていたら、お花を持っている人がいるので話しかけてみてください」とか、「この場で、これを言ってください」のような即興要素も多い進め方だったので、普段のドラマとも違う撮り方でした。
――監督も2人体制、撮影方法も普段と違うとなると、混乱しませんでしたか。
普段と違うからこそ混乱することもなかったというか、あいまいさを楽しめた、好奇心をくすぐられた撮影になったと思います。少人数での海外ロケだったこともあってチーム感もあってすごく楽しかったです。
監督が2人体制も戸惑うことはなかったですね。過去に監督がたくさんいらっしゃる現場もあったので、監督が多いことには免疫があるみたいです(笑)。

■お互いに嫉妬する2人の監督…芳根京子「きっといい作品になる」
――監督2人体制だからこその、エピソードはありますか。
移動中に、監督二人が熱心に話をしているなと思ったら、お互いをリスペクトし合っていたんです(笑)。
(紀行パートの)監督が「嫉妬しています!」って言っているのが聞こえて、何が始まるんだろう…って思っていたんですけど「ドキュメンタリーではなかなか寄れないドラマならではの画角を撮れることがうらやましいっ…!」っておっしゃってて。
ドキュメンタリーの監督と、ドラマの監督ではそういう違いがあるんだなと、その話を聞いて思いました。お互いが、それぞれにしか撮れない表情を撮れているのがうらやましいと話しているんです(笑)。これはきっといい作品になるなと思いましたね。
――撮影での印象的なできごとはありますか。
ドラマパートの撮影の仕方がすごく印象的でした。お店の方だと思って話しかけたら、実は俳優さんだったりとか、サプライズが多かったです。「気になったことがあったら近づいてみていいよ」と言われていたんですけど、近づいたら実際何が起きるのかわからなくて、ドラマなのにある意味これもドキュメンタリーだなと思いました。
ドラマパートでも台本がガチガチに決まっているわけではないので、自分の視野の広さや受け口を広くしておいた方がいいんだなと思いながら撮影に臨みました。でも、カットがかかったらまず、「合ってます?」って毎回確認していましたね(笑)。

■パリでの仕事が“旅行観”を変えた
――今回の旅で、特に良かった街、景観などはありますか。
ヴェネツィアがとにかくトキメキました。水の都と呼ばれているとおり、水に囲まれていて。水が常に見える街って、世界からみても珍しい街だと思うし、到着した日がスーパームーンの日で、ホテルから窓を開けると、川が広がっていて、満月が輝いていて、うれしかったです。私は水が好きなので、プライベートでもゆっくり行きたいなと思いました。
――プライベートで旅行はよく行く方ですか?
行くようになりました。それまではお仕事でもいろんな場所に行くので休みの日は家にいることが多かったのですが、それはもったいないなと思って…。
以前、お仕事でパリに行ったときに、お休みを取って海外に行きたいっていう感情が初めて生まれたんです。肩の力が抜けるというか、普段暮らしている日常とは違う時間が確実に流れているし、だけどその地に行けばその地の人はそれが日常で、自分だけが非日常みたいな空間、感覚がすごく魅力的に感じて。
いろんな経験がすべてお芝居につながるなと思うんですけど、その中でも海外に行くと、普段の当たり前が当たり前じゃないことが分かって、自分の固定概念が崩されるんですよね。
私は、すごくいろんな経験をお仕事でさせてもらっていますが、逆を言えば自ら計画してどこかに行くことがあまりなかったことに気付いて、もっといろんな景色をみたいなと思ったのがきっかけでした。
――最後に、番組を楽しみにしている視聴者へメッセージをお願いします。
初めて行ったイタリア、バチカン市国はどちらも素敵な印象だったので、この番組を見ていただいて行きたいなと思う方が増えたらいいですね。海外にご縁がなかった人や、海外に行くことのなかった方のきっかけの一つになれたら、うれしいなと思います。


