10歳年上のマサトと結婚したマミ。職場の人間関係に悩み、仕事を辞めたマミに、マサトは「俺がちゃんとした奥さんにしてあげる」とプロポーズ。しかしマミの両親は結婚に猛反対。「妻として彼女に僕を支えてほしい」とマサトは懇願するも許しを得られず、2人は反対を押し切って強引に結婚。
娘・アミが誕生すると、マサトは独断で名前を決めてしまい、娘に「ママみたいになるな」と言い、間接的にマミを見下すように。マミの実家から絵本が届くと「迷惑だ。お前の親は他人だ」と切り捨て、マミを孤立させていきます。
そして迎えたアミの初節句。マミの母が買ってくれた雛人形が届くと、マサトは「邪魔だ」と激怒。娘が喜ぶ姿を見て一度は写真を撮るなど機嫌を直したものの、マミが母へのお礼を促すと態度は急変。「俺は感謝してない。巻き込むな」と冷たく拒絶し……。
母に嘘、実家と夫の間で疲弊して…
私は、アミがどれだけ喜んでも、マサトの『私の両親が嫌い』という事実は変わらないのだと、痛感しました。
私はただ、マサトからも母にお礼を言ってほしかっただけなのに……。
















「マサトさんはどう? 喜んでくれてる?」
お母さんからの問いかけに、マミさんはドキッとしました。
本当は「俺を巻き込むな」と冷たく突き放されたばかり。しかし、マミさんはお母さんを心配させまいと、とっさに嘘をついてしまいます。
「もちろん喜んでたよ! ねぇ、マサト?」
電話でお母さんと話すマミさんから、同意を求められたマサトさんは、スマホから視線を外そうともせず、「……あぁ」と返事。
そのそっけない態度に、電話越しの空気も凍りつきます。
「……そう。それなら、いいんだけど」
お母さんの言葉が濁った瞬間、マミさんは「嘘だと気づかれたかもしれない」と悟りました。
マサトさんの機嫌を損ねないように必死に取り繕い、両親には嘘をつき続ける日々。せっかくの初節句なのに、なんで私がこんな気持ちに……と、マサトさんと両親の間で板挟みになり、気持ちを沈ませるマミさんなのでした。
◇ ◇ ◇
電話越しにお母さんへ必死に嘘をつくマミさんの姿と、それを知りながらスマホを見続けて空返事をするマサトさんの対比が、あまりに残酷で胸が締め付けられます。お母さんの言葉が濁ったのは、その不自然な空気を感じ取ったからなのかもしれませんね。
パートナーと自分の家族の間を取り持つのは大変なことですが、パートナーの不機嫌や非礼を隠すために嘘をつくことが日常になってしまったら、それは関係性が歪んでいる危険なサインです。その場を繕うために自分だけが心労を重ねてボロボロになるのではなく、大人の対応ができないパートナーの尻拭いはもうしない、と境界線を引くことも必要なのかもしれません。自分の心を守るために、ときには勇気を持って選択や決断をしていきたいですね。
つらいときは遠慮せずに周囲に助けを求めましょう。周囲に話しにくい場合は、専門機関に頼ることもできます。相談窓口をいくつかご紹介します。
※よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
ガイダンスで専門的な対応も選べます(外国語含む)
0120-279-338 つなぐ ささえる(フリーダイヤル・無料)
岩手県・宮城県・福島県から 0120-279-226 つなぐ つつむ(フリーダイヤル・無料)
※こころの健康相談統一ダイヤル
電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続します。
0570-064-556 ※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
※DV相談ナビ
全国共通の電話番号(#8008)に電話をすると、お近くの都道府県配偶者暴力相談支援センターにつながります。
#8008(はれれば)※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
著者:マンガ家・イラストレーター ゆる山まげよ

