久しぶりに家族そろって実家へ帰省した日のことです。のんびりお茶を飲みながら過ごすはずが、母の口から思いがけない言葉が飛び出し、家族全員が一気に緊張する事態になりました。
母が訴えた「見えない虫」
実家に着いて間もなく、母が「なんか昨日から変なものが見えるのよ」と言いだしました。
最初は冗談かと思ったのですが、詳しく聞くと「カーペットに虫がいるように見える」とのこと。実際には何もいなかったので、最初は一瞬の錯覚かと思いました。
ところが、お茶を飲んでいるときも、食事をしているときも、母は「ほら、また虫がいる」「そこにたくさん湧いてきた」と繰り返すのです。母が指差す先を見ても、もちろん何もありません。家族の間に戸惑いと不安が広がっていきました。
急きょ病院へ…家族を襲った不安
そのうち家族の一人が「脳の病気でこういう症状が出ることもあるらしいから、念のため病院に行ったほうがいい」と言いだしました。たしかに、理由のわからない“幻覚”の訴えに、私たちはただならぬ気配を感じていました。
急きょ病院へ向かい、検査を受けることに。待合室で結果を待つ間、私たちは「何か重大な病気なのでは?」と不安が募りました。普段の母からは想像できない言動だったからです。

