「全裸で倒れてた」父の延命…「生きる」と「生かす」の狭間で揺れる一人っ子の苦悩【作者に聞く】

「全裸で倒れてた」父の延命…「生きる」と「生かす」の狭間で揺れる一人っ子の苦悩【作者に聞く】

「父が全裸で倒れてた。」カバー

右耳難聴や子宮内膜症など、自身の体験をコミカルな漫画で描くキクチさん(@kkc_ayn)。彼女の作品のなかでも、母親の自宅介護と看取りをテーマにしたコミックエッセイ『20代、親を看取る。』は、自宅介護の現実や、親との死別と向き合う中で揺れ動く感情が描かれ、大きな反響を集めた。


母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れてしまう話だ。母の介護・看取りを経たことで落ち着いて対応できることは増えたものの、あのときとは違い、一人っ子として頼れる家族がいないなかで、さまざまな決断を迫られることになるキクチさん。今回は、今後の延命措置という重い選択に、彼女がどう向き合ったかを描いたエピソードをお届けする。

■一人っ子が迫られる「延命措置」の重い決断
第1話1-1
第1話1-2
 第1話2-1


父の延命措置について、病院から電話で意思確認をされたキクチさん。過去に交わした父との会話を思い出しながらも、その重圧に精神的な負担を感じていた。

「延命措置が何なのか、まったく理解できませんでした。最初は『生きる』ことだと思っていたのですが、医師との話で『生かす』に近いのかもしれないと感じ始めました」。キクチさんは、どこからが「生きる」で、どこからが「生かす」なのかわからず、混乱したという。

「植物状態」や「医療殺人」といった言葉が頭をよぎる。病院側にとっては日常的な確認作業だと理解しつつも、この重い選択に寄り添ってほしいと感じる部分もあった。「延命についての意思確認を、電話や書面でサラッとされることに驚きました。時間をかけて考えたいのに、『とりあえずでいいんで』と軽い調子で答えを催促され、病院との温度差を感じました」と語る。

しかし、急変する可能性があるため、返事を保留にすることはできない。「それはそれで理解できる事情なので、複雑な心境でした」と、キクチさんは当時の状況を振り返った。

■「苦しまないで亡くなる」…母の言葉が価値観を変えた

一旦は「助かる見込みがあれば手を尽くしてほしい」と伝えたキクチさんだが、その後も延命措置に関する確認が3回あったという。その中で彼女の考えは変わっていった。

「母を在宅で介護したとき、母が衰弱して食事も何も受け付けない状態になって『いよいよだぞ』ってなった際の医師からの言葉がすごく印象に残っていて。『身体が何も食べたくないって言ってるってことは、それが自然な状態なんです。そんな状態の患者さんに、胃ろうや点滴をすることは、苦痛になることもあるんですよ』。この言葉が、私の価値観にすとんとハマったんです。苦しまないで亡くなることが一番だなと」

そのため、3回の確認では「延命措置はしない」で合意したという。しかし、「1人で決めるのは責任が重い。事前に家族とそういった話をしておけばよかったと感じました」と後悔の念を述べた。

家族による「延命措置」という重い選択がテーマのこのエピソード。つらい状況も淡々と、ときにクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画を、今後も楽しみにしたい。



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