更年期障害の診断では、症状の確認とホルモン検査が重要な役割を果たします。症状は他の疾患と重なることもあるため、正確な診断が適切な治療の第一歩となります。本記事では、問診や血液検査の内容、他疾患との鑑別方法について説明します。また受診を検討すべき症状のサインや、婦人科や更年期外来で受けられるサポート内容も解説します。早めの受診が、その後の回復を大きく左右する可能性があります。

監修医師:
月花 瑶子(医師)
杉山産婦人科
東京都渋谷区 杉山クリニックSHIBUYA 勤務
【資格】
産婦人科専門医
生殖医療専門医
更年期障害の診断方法
更年期障害かどうかを判断するためには、症状の確認と検査が必要です。症状は他の疾患と重なることもあるため、正確な診断が適切な治療の第一歩となります。ここでは、診断の流れと検査内容について説明します。
問診と症状評価の重要性
更年期障害の診断では、まず医師による詳しい問診が行われます。現在の症状の種類や程度、いつから始まったか、日常生活への影響、月経の状況、過去の病歴や生活習慣などを丁寧に確認します。これらの情報は、更年期障害の診断だけでなく、他の疾患を除外するためにも重要です。
更年期症状の種類と重症度を客観的に評価するため、簡易更年期指数(SMI)などのスコアリングシステムを用いることもあります。点数化することで、症状の全体像を把握し、治療の必要性や方針を判断する材料になります。
問診では、精神症状についても詳しく聞かれることがあります。抑うつ気分や不安感、睡眠障害などは、更年期障害と精神疾患の両方で見られる症状であり、鑑別が必要です。また日常生活や仕事、人間関係にどのように影響しているかを伝えることも大切です。症状の重症度は数値だけでは測れない部分もあり、患者さん自身がどう感じているかが治療方針を決める重要な要素となります。
ホルモン検査と他疾患の除外
必要に応じて、血液検査によるホルモン値の測定が行われることがあります。エストロゲンの分泌量を反映するエストラジオール(E2)や、卵胞刺激ホルモン(FSH)の値を測定します。更年期にはE2が低下し、FSHが上昇する傾向が見られます。ただし、ホルモン値は日によって変動するため、一度の検査結果だけで診断が確定するわけではありません。症状とホルモン値を総合的に判断することが重要です。
また更年期障害と似た症状を示す疾患を除外することも大切です。甲状腺機能異常、貧血、糖尿病、心疾患、精神疾患などは、更年期症状と重なる症状を引き起こします。そのため、甲状腺ホルモンや血糖値、貧血の有無などを調べる血液検査が行われることもあります。動悸やめまいが強い場合は、心電図や血圧測定を行い、ほかの原因がないかを確認します。診断には時間がかかることもありますが、丁寧な評価が効果的な治療につながります。
更年期障害の治療を始めるタイミングと受診の目安
更年期の症状は、軽い不調から始まることもあれば、ある日を境に強く現れることもあります。我慢できるから、まだ病院に行くほどではないと感じる方も多いですが、早めの受診がその後の回復に大きく左右します。ここでは、治療を検討すべきサインと、婦人科や更年期外来で受けられるサポート内容について解説します。
受診を検討すべき症状のサイン
更年期の不調は多くの女性に起こる自然な変化ですが、年齢のせいと我慢を続けると、心身の負担が大きくなりやすいものです。たとえばホットフラッシュや発汗、動悸が頻繁に起こる場合、または気分の落ち込みや不安が強く、夜の眠りが浅い状態が続くときは、治療を検討するサインといえます。疲労感が抜けずに仕事や家事に影響が出ている、月経の乱れが急に増えた、あるいは閉経が近づいていると感じるときも、早めに医師へ相談するのが望ましいでしょう。
軽い症状であっても放置すると自律神経の乱れが進み、めまいや不眠、抑うつなど別の症状を引き起こすこともあります。早めに受診することで、症状の進行を防ぐことができるでしょう。
婦人科・更年期外来でできること
婦人科や更年期外来では、問診や血液検査を通してホルモンバランスや体調の変化を詳しく調べ、症状の程度や生活背景に合わせた治療方針を提案してもらえます。ホルモン補充療法(HRT)をはじめ、漢方薬や非ホルモン治療、生活習慣の見直しなど、複数の選択肢を組み合わせながら無理なく改善を目指すことができます。
最近では、更年期外来を専門的に設ける医療機関も増えており、心と身体の両面からサポートを受けられます。更年期の不調は個人差が大きいため、ひとりで抱え込まず、信頼できる医師とともに自分に合った治療法を探していくことが、より快適な日常を取り戻す第一歩です。

