証拠を掴んだアンリは、すぐには問い詰めず、博也が不倫相手と会う夜を待った。残業と嘘をついた夫に対して報復を決意。デートを楽しんだ夫に「爆弾メッセージ」を送りつけることに…。
つわりとは違う吐き気が悩む日々
確たる証拠を手に入れてからも、私はすぐに問い詰めることはしませんでした。数日間、私はモヤモヤ、イライラ、そして何よりも虚無感に苛まれながら過ごしたのです。つわりは相変わらずひどいけれど、それよりも心の吐き気がひどくて、何も喉を通りません。
「大丈夫?つわりひどいんだね」
なんて、実家に顔を出した博也は心配そうな顔をする。その顔が、あまりにも普段通りで、あまりにも優しくて、腹の底から憎しみがわきました。
この数日、私は彼を「何事もなかったかのように許すのか」それとも「報復するのか」悩み続けました。彼に対して抱いた怒りと憎悪は、到底すぐには消えないものです。
ついに投下した爆弾
そして、夫が女とデートの約束をしていた金曜日、私はついに行動を起こしました。そう、夫を許さず、報復することを選んだのです。家族への裏切りを許すことはできません。
デートの日の夜21時。私は彼にメッセージを送りました。まるで世間話をするような、能天気なスタンプをつけて。
「博也、お疲れさま!残業大変ね。ところで、今日のデートは楽しかった?」
カマをかけた問いかけ。夫がどう反応するか、私はただ、画面をじっと見つめて待ちました。
「何のこと?今日はずっと会社だよ。もう疲れた~」
彼は、私を完全にバカにしていました。シラを切り通すつもりだと悟った瞬間、私はもう躊躇するのをやめました。私をこれ以上愚弄させるものか、と。

