「食道がんの手術」で起こる”3大合併症”は何かご存じですか?手術以外の治療法も医師が解説!

「食道がんの手術」で起こる”3大合併症”は何かご存じですか?手術以外の治療法も医師が解説!

早期発見が難しい食道がんでは、放射線化学療法や化学療法のほか負担の少ない内視鏡治療が相当増えてきましたが、主な治療法は外科手術です。

しかし手術操作の範囲が広く、臓器に囲まれた長い食道の手術は大がかりで、手法も単純ではありません。さらに手術で食道を切除すると、QOL(生活の質)が低下します。

この記事では食道がんの手術を種類ごとに紹介し、合併症や手術以外の治療法も解説します。

本多 洋介

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

食道がんとは?

食道は咽頭(のど)と胃をつなぐ管状の臓器で、長さは成人で25cm前後です。頸部食道と胸部食道に分かれ、胃とのつなぎ目の5cmの部分は食道胃接合部と呼ばれます。
食道がんはどの部分にもできますが、約半数が集中するのが中央部の胸部中部食道です。食道の管状になった組織は、内側から粘膜上皮・粘膜固有層・粘膜筋板・粘膜下層・固有筋層・外膜の6層構造で、外側はリンパ節が散在します。がんができるのは粘膜上皮で、進行に伴って深く広く浸潤します。外膜を越えて隣接する気管・大動脈に直接広がるほか、血液やリンパ液に乗って遠隔臓器に移るのが転移です。
食道がんの5年生存率は37%で、胃がんの65%・大腸がんの70%と比べて低く、治療が難しいがんといえます。

食道がんの手術の種類

食道がんで手術が適応になるのは、進行度(ステージ)0〜3です。食道は縦に長く、頸部・胸部・腹部を通ります。がんがある部位によって周囲の環境が違い、手術の方法も変わります。主な手術は以下の4種類です。

頸部食道がんの手術

がんが頸部食道内にとどまっている場合には頸部食道だけを切除します。位置や大きさによっては咽頭・喉頭まで切除、あるいは食道をすべて切除する手術です。
喉頭まで切除した場合は声帯もなくなるので声を失い、気管の入り口を首に造設します。切除した食道の代わりとして、小腸の一部や胃を使って再建手術を行います。食道は肋骨の奥にあり、気管や大動脈・心臓・肺などの臓器に囲まれた難易度が高い手術です。

胸部食道がんの手術

食道がんの半数を占めるのが胸部食道がんです。この手術は切除範囲が広く、胸部食道から胃の上部まですべてと、頸部・胸部・腹部のリンパ節も完全に取り除きます。頸部・右胸部・上腹部を切開する大がかりな手術になり、患者さんの負担も大変です。
切除した食道の代わりに、胃を上に伸ばして頸部食道の下部とつなぎます。6~10時間かかる大手術ですが、近年は胸腔鏡や腹腔鏡に支援ロボットを使って負担を軽くする例が増えてきました。

食道胃接合部がんの手術

食道と胃の接合部は長さ約5cmのせまい部分です。ここにできたがんは食道側や胃側に浸潤しますが、その程度によって手術方法も変わります。食道側に大きく浸潤があれば、胸部食道がんと同じ方法です。
食道側の浸潤が少ない場合は、食道上部は残して胃の上半分かすべてを切除します。その場合切開は腹部だけの場合もありますが、いずれにしてもリンパ節は広範囲の郭清が必要です。

バイパス手術

バイパス手術は、食道がんが他臓器転移などで切除不能な状態で、がんが進行して食道が狭くなった場合に行います。がんで生じた不具合を緩和するための手術で、がん自体の治療を目的にしないため、ほかの手術とは性格が異なります。
新しく食道を造設して食物を通し、患者さんのQOLを確保するのが目的です。空腸や結腸・胃の一部を使って別ルートを作り、経口や経管での食物摂取を可能にします。また、金属のステントを食道の狭隘部に置き、空間を確保する方法もあります。

配信元: Medical DOC

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