夫のプレッシャーに委縮するわが子
亘は強豪校で、努力が認められない、活躍できない悔しさを、誰よりも知っているはずなのに。その悔しさが、今、達也に向けられている。自分が達成できなかった夢を、達也が放棄しているように見えて、耐えられないんじゃないか、と思った。
達也はただただ、自分の自信を失っていくだけ。
「もう、サッカー辞めちゃおうかな」
ある日、達也がぼそっと言った言葉を、私はどうやって亘に伝えればいいのか、途方に暮れていた。私は達也の繊細さを理解しているつもりでも、自分のイライラを抑えきれずにいる。
そして亘は、自分の過去の傷を達也の姿に重ねて、怒鳴り散らすことしかできない。この負の連鎖は、一体いつまで続くのだろうか―――。
あとがき:動けない子と、できない父
達也が試合で動けなくなったのは、自己防衛の手段だったのでしょう。繊細な子にとって、挑戦して失敗するよりも、「動かない」ことで傷つくことを避ける方が安全だと体が判断してしまったのです。
一方、亘の怒鳴り声は、達也の不甲斐なさに対するものではなく、過去の自分に対する怒りの投影だと美香子は理解していることがうかがえます。わが子に過去の自分を投影してしまっている父親が、これ以上暴走しないと良いのですが…。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

