厚生労働省の報告によると、2025年第47週の全国のインフルエンザ総報告数は196,895件、定点当たりの報告数も51.12となり、依然として高い流行状況が続いています。こうした状況を踏まえ、現在の感染動向や今年流行しているウイルス、感染者数増加への受け止めについて、吉野医師に伺いました。

監修医師:
吉野 友祐(医師)
広島大学医学部卒業。現在は帝京大学医学部附属病院感染症内科所属。専門は内科・感染症。日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医。帝京大学医学部微生物学講座教授。
インフルエンザの感染動向とは?
編集部
インフルエンザの感染動向について教えてください。
吉野先生
厚生労働省の発表によると、2025年第47週(11月17〜23日)のインフルエンザ定点報告では、全国の総報告数は19万6895件、定点当たり報告数は51.12となり、依然として高い流行状況が続いています。
都道府県別にみると、最も報告数が多かったのは東京都の2万1608件で、人口規模の大きさもあり全国最多となりました。続いて多かったのは神奈川県の1万5966件、埼玉県の1万3993件、千葉県の1万1180件、大阪府の1万1060件で、首都圏および大都市圏で多数の報告が確認されています。
一方、定点当たり報告数が特に高かったのは宮城県(89.42)、福島県(86.71)、岩手県(83.43)、栃木県(74.47)などで、東北や関東の一部地域で流行が強まっている傾向がみられました。全国的に感染が広がる中、地域によって状況に差はあるものの、引き続き注意が必要な状態となっています。
今年流行しているインフルエンザとは?
編集部
今年流行しているインフルエンザについて教えてください。
吉野先生
今年、国内で流行しているインフルエンザは、主にA型のウイルスが中心です。インフルエンザウイルスはA型・B型などに分類されます。直近5週間(2025年第43〜47週)の検出状況を見ると、最も多いのは AH3亜型で、検出されたウイルスの約94%を占めています。次いでAH1pdm09が3%、B型が3%と続きます。
年や地域によって流行する型は異なりますが、今年は特にAH3亜型が国内の流行を主導している状況です。

