里奈のSNSを見るたびに、私の心の奥に湧き上がるモヤモヤは、次第に大きくなっていった。それは、母親としての責任感と、友人としての感情の間で揺れ動く、複雑な感情だった。
里奈の奔放な姿は、私にとっては理解しがたいものだったけれど、単なる価値観の違いともいえる。私は本人に何も言えない中でモヤモヤをつのらせていた。
他人の失敗談を面白おかしく…里奈の投稿に募る、小さな不信感
里奈のSNSでの発言や振る舞いが気になり始めてから、私は彼女との時間が少しだけ息苦しく感じるようになっていた。彼女が冗談交じりに「昨日も朝まで飲んでさー」と話すたびに、私は胸の奥で「またか」と思ってしまう。それが態度に出ないように、私は努めて笑顔で相槌を打った。
私たちは以前と変わらず仲の良いママ友として過ごしていたが、私の中には、彼女との間に見えない壁ができつつあった。ある日、里奈の投稿で、共通のママ友である友美さんのことが書かれているのを見つけた。
「ママ友が園庭で豪快に転んでてつい笑っちゃった。思ったよりヒザ上がってなくてつまづいたってw運動不足って怖いね」
里奈に悪気がないことはわかっていたが、私には友美さんの気持ちを考えると、あまりいい気はしなかった。私は、他人のことを面白おかしく書く里奈の行動に、さらにモヤモヤを募らせていった。
里奈へのモヤモヤが、確信に変わった瞬間
「ねえ、里奈さんってさ、よく深夜まで飲んでるよね?」
ある日、同じクラスのママ友・恵美さんが、私にそう尋ねてきた。恵美も、里奈のSNSを見ているらしい。
「うん…そうだね」と曖昧に答える私に、恵美は少し眉をひそめて続けた。
「大丈夫なのかなって。なんか子どもがかわいそうじゃない?ママがしょっちゅういないわけでしょ?」
恵美の言葉に、私はドキッとした。心の奥で私が思っていたことを、彼女はためらいもなく口にした。私は、自分が里奈に対して感じていたモヤモヤが、決して私だけの思いではないことを知り、少しだけ安心した。
ただ一方で、このままでは里奈が孤立するのではないかと思った。ママ友としての里奈のことは好きで、他のママ友に陰口を言われると思うといたたまれない。
しかし、私は里奈に直接注意することはできなかった。気を悪くされて関係性が悪化するのも嫌だったし、内気な私がせっかく手にしたコミュニティーを失いたくなかったのだ。

