初期の虫垂炎|検査と診断、治療法

初期の虫垂炎が疑われる場合はどのような検査を行いますか?
まず問診で痛みの場所や移り方、経過、発熱や吐き気の有無などを聞き、次にお腹の診察で圧痛や反跳痛、筋性防御といった腹膜刺激症状を確認します。そのうえで、血液検査で白血球数やCRPなどの炎症反応を調べ、必要に応じて腹部超音波検査やCT検査を行います。
超音波検査では虫垂の太さや周囲の液体貯留などを確認し、小児や妊婦さんのように放射線を避けたい方では特に重視されます。描出が難しい場合や重症が疑われる場合にはCTで虫垂の腫大や周囲の炎症、膿瘍や穿孔の有無を詳しく評価します。画像検査を組み合わせることで、虫垂炎かどうかの判断とほかの病気との鑑別が精度高く行えるようになります。
初期の虫垂炎の診断基準を教えてください
症状や診察所見、血液検査、画像検査の結果を総合して診断します。典型例では、臍の周りから右下腹部へ移動する持続痛、軽度の発熱、白血球やCRPの上昇、画像検査での虫垂腫大や周囲の炎症所見などがそろうと虫垂炎の可能性が高くなります。
一方で、小児や高齢者ではこうした所見がそろわないこともあり、その場合は診断スコアや経過観察を用いながら、医師が総合的にリスクを評価します。必要に応じて入院のうえで再診察や再検査を行い、誤診や見逃しを防ぐように工夫されています。
初期の虫垂炎はどのように治療しますか?
治療は、虫垂炎の重症度や画像所見によって決まります。虫垂に穴があいていない軽症例では、抗菌薬による保存的治療で炎症が落ち着く場合がありますが、その後数年以内に再発する方がおよそ2〜3割いると報告されています。
仕事や学校への影響、持病の有無、妊娠の可能性なども含めて、どの治療法がご自身に合うかを医師と相談しながら決めていきます。虫垂に穴があいていたり膿瘍や腹膜炎を伴っている場合は、腹腔鏡手術などで虫垂を切除する治療が基本になります。現在は小さな傷で行う内視鏡手術が主流であり、多くの方が術後早期から歩行や食事を再開できます。適切なタイミングで治療を受ければ、多くの場合は数日から1週間前後の入院で回復し、後遺症を残さずに生活へ戻ることが期待できます。
参照:『A Randomized Trial Comparing Antibiotics with Appendectomy for Appendicitis(CODA trial)』(New England Journal of Medicine)
編集部まとめ

虫垂炎は身近でありながら、進行すると腹膜炎や敗血症を起こす危険な病気です。初期にはみぞおちやおへその周りの痛みなど、胃腸炎と紛らわしい症状から始まることが多く、その後痛みが右下腹部に移動し、吐き気や発熱を伴うようになります。腹痛が続く、右下腹部に痛みが集中してきた、強い痛みや高熱、繰り返す嘔吐などの症状があれば、時間帯を問わず受診を検討してください。早い段階で診断と治療を受けることで、重症化を防ぎ、手術になった場合でもおおむね短期間で安全に回復することが期待できます。
参考文献
『急性虫垂炎』(慶應義塾大学病院)
『虫垂炎』(帝京大学医学部附属病院 下部消化管外科)
『Appendicitis』(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)
『Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines』(World Journal of Emergency Surgery)
『Five-Year Follow-up of Antibiotic Therapy for Uncomplicated Acute Appendicitis (APPAC trial)』(JAMA)
『A Randomized Trial Comparing Antibiotics with Appendectomy for Appendicitis(CODA trial)』(New England Journal of Medicine)

