理々子はラウンジ嬢にショートメッセージを送る。彼女からの返信は、「彼氏がいるから安心して」という、潔白を装った長文の釈明で…。
ラウンジ嬢と直接対決へ
サトルが仕事へ出かけた後、私は、メモしておいたラウンジの女に連絡することにしました。最初は何度か電話をかけたが、女は電話に出ません。私の着信履歴を見て、女がサトルになにか報告したのかもしれません。
そこで私はショートメッセージを送りました。
「サトルの妻です。聞きたいことがあります」
送信ボタンを押した後、震える手で携帯を置いて、コーヒーを淹れました。返信なんて来ないかもしれない。サトルに言いつけられるだけかもしれない。でも、このまま夫のヘタクソすぎる嘘と、女の調子に乗った行動に耐えるのは無理だったのです。
どこまでもシラを切るラウンジ嬢
翌日の午後、携帯が通知音を鳴らしました。女からでした。予想をはるかに超える長文です。
「サトルさんの奥様、だいたいのことはサトルさんから聞きました。イヤな思いをさせてすみません」
謝罪から始まったことに、私は少し戸惑いました。一体どんな風の吹き回しでしょう。
「さっき、サトルさんから結婚していると連絡をもらって初めて、結婚されているんだと知りました。私はサトルさんの行きつけのラウンジで働いている店員で、予約のためにご連絡先をお伝えしていただけです。サトルさんが持っているライターやストラップは私が差し上げたものですが、お客様からの頂きもので持て余していたものです。奥さんがいらっしゃるなんて知らずすみません」
女はていねいな言葉で謝罪しているように見せかけて、不倫を必死に隠そうとしているのが見え見えでした。そして、これに続く言葉がさらに私の闘争心に火をつけます。
「私、実は彼氏もいるんです。だからご安心くださいね。奥様に愛されているサトルさんがうらやましいです♡」
完全に「逃げ切った」を確信したような終わり方。夫も女も、2人して私をバカにしています。ラウンジで会うだけでなく、ホテルまで行って男女の仲を楽しんでいるくせに。夫が私にアリバイ連絡をしている横で、ほくそ笑んでいるくせに。

