●担当632件のうち130件で不正判明
9月10日付の佐賀新聞によると、当該職員が担当した632件の鑑定のうち、130件で不正が確認された。また、16件は検察庁に記録を送付され、うち11件は再鑑定がおこなわれた。
不正の主な内訳は次の通りとされている。
(1)鑑定をしていないのに実施したように偽装したもの・・・9件
(2)鑑定後に資料を紛失し、本来のものと異なる資料を返却したもの・・・4件
(3)実際と異なる検査日を書類に記入したもの・・・62件
(4)鑑定結果と異なる数値、日付に改ざんしたもの・・・7件
(5)鑑定で顕出したDNA型の波形を改ざんしたもの・・・37件
(6)その他・・・11件
このうち、とくに悪質とされる(1)と(2)については、虚偽有印公文書作成・同行使や証拠隠滅の疑いで書類送検された。
その後に公表された警察庁による特別監察の中間報告によると、不正鑑定がおこなわれた事件のうち、被疑者を摘発した事件は38件で、佐賀県警から佐賀地検に送付された事件は21件であった。
警察庁と佐賀県警の発表との間に、件数の相違が生じた理由については公表されていない。
また、警察庁の中間報告によると、130件のうち犯罪捜査目的の鑑定が101件、身元不明の遺体の身元特定などの犯罪捜査目的以外での鑑定が29件とのことである。
●124件を再鑑定した結果、8件で異なる結果に
佐賀県警が本件不正発見後に鑑定資料が残存していた124件について再鑑定を実施したところ、8件でこの職員が実施した鑑定と異なる結果が出ていた。
佐賀県警はこの8件について「結果的にDNA型を元に個人を特定できず、仮に再鑑定結果が職員の鑑定した当時に判明したとしても、その後の捜査に影響することはなかった」と説明している。
また、警察庁による特別監察の中間報告でも「本来捜査対象とすべきでない方を捜査対象とした」といった捜査への影響はないとしている。
佐賀地検も9月8日付で「送致された事件に関するものについて、処分の決定や公判における証拠として使用された事例はなく、いずれも捜査、公判への影響はなかったと確認している」とコメントしている。
ただし、うち1件は少年事件であったため、鑑定結果が一件記録として家庭裁判所に送付されていた。佐賀家庭裁判所は審判への影響の有無について「裁判官の判断に関わるものであるので回答できない」との対応をおこなった。

