●保育士などであれば「不適切保育」になる可能性も
──保護者でなく保育士だった場合はどうでしょうか。
子どもに対する「心理的虐待」とは異なりますが、子どもの保育に関する専門的知見を有する保育士の場合、「警察に電話をするふり」は不適切保育とされる可能性がありうるようです。
子ども家庭庁などが監修した「保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン」(2023年)では、「心理的虐待」の例として
・ことばや態度による脅かし、脅迫を行う
を挙げ、さらに「不適切な保育」の例として
・物事を強要するような関わり
・脅迫的な言葉がけ
を明記しています。
一般に、目の前で「警察に電話」されることは、言われたほうが何らかの処罰を下される可能性、すなわち何かを「強要」される可能性を感じ取るものです。
そのため、保育士が子どもの目の前で「警察に電話をする」ふりをすることは、子どもが警察との関わりを持たなければいけないと捉える可能性、つまり「物事を強要するような関わり」をしなければならないと捉える可能性があります。
この点から、不適切保育と判断される可能性は十分にあると思います。
【取材協力弁護士】
玉真 聡志(たまま・さとし)弁護士
千葉県弁護士会で法律事務所を主宰。2013年弁護士登録。会社と従業員の労働問題、企業間トラブル(代金未払いなど)、ご家族の間で起きる法律問題(離婚、相続)を専門とする。「法律問題の解決を通じて、相談者様の幸せを実現する。」をモットーに、日々の業務に励む。
事務所名:たま法律事務所
事務所URL:https://tama-lawoffice.com/

