アンリの実家にやってきた博也は、アンリの前で土下座し、すべてを白状。アンリは冷静に、ラブホや制服コスプレの写真など、全ての証拠を保全済みであることを突きつけます。主導権を握った妻の恐ろしい制裁とは―――。
絵にかいたような土下座
約1時間後、博也は私の実家に帰ってきました。夜も遅い時間で両親はすっかり寝ている時間だったけれど、夫は何を恐れたのか勝手口から入ってきました。顔は青ざめていて、額には嫌な汗がにじんでいます。すべてバレたことを悟った夫はただ、頭を垂れることしかできなかった。
「アンリ、ごめん。本当に、ごめん…」
彼はそう言いながら、私の目の前で土下座しました。それも、頭を床に擦り付けるような、昔のドラマに出てくるような、情けない土下座。
夫が白状したことの全容
彼は震える声で、すべてを白状し始めました。あのLINEの女とのこと、数回会ったこと、そしてラブホテルを利用したこと。デリヘルではなくSNSで出会ったいわゆる「裏アカ女子」だということ。彼の言葉は支離滅裂で、謝罪の言葉ばかりが繰り返されていました。
でも、私は自分でもびっくりするくらい冷静でした。妊娠中の感情の波が嘘みたいに引いて、頭の中がクリア。彼の謝罪の言葉は、まるで遠くで鳴っているラジオの音みたいに、私の耳には届きません。
私は立ち上がり、博也の目の前に座り直しました。
「ねえ、博也」
彼は恐る恐る顔を上げたわ。その怯えた顔を見て、私は静かに問いかけたの。
「一応、証拠はすべて保存してあるよ。一部は送ったけれど、他にもあるの」
私はそこで一旦言葉を切った。そして、最も冷静な、自分でも恐ろしくなるような声で、質問したわ。
「証拠、全部見たい?」

