逆流性食道炎の治療で用いられる漢方の副作用と服用時の注意点

逆流性食道炎の治療で使われる漢方薬には副作用はありますか?
漢方薬も西洋薬と同じく、副作用がみられることがあります。六君子湯は、胃の張りや下痢、発疹などの軽い症状が出ることがあります。また、甘草を含む処方は、長期使用により低カリウム血症や血圧上昇、むくみが起こる場合があります。半夏瀉心湯は、肝機能障害を引き起こすことがあります。
漢方薬を服用する際の注意点を教えてください
漢方薬を処方する際は、現在使用している薬をすべて確認し、重複成分や相互作用がないかを判断します。
特に、市販の胃薬やサプリメントに甘草やショウキョウなどが含まれている場合は、成分が重なって作用が強まりすぎることがあります。
また、漢方薬は体質に合わせて選ぶ必要があり、合わない場合にはかえって倦怠感や胃部不快感が出ることもあります。服用後2〜4週間を目安に効果を評価し、症状の変化を確認して調整します。体調の波や季節の変化によって効果が変わることもあるため、少しの変化でも医師に報告するようにしましょう。
漢方薬を飲んでも逆流性食道炎が改善されないときはどうすればよいですか?
漢方薬を飲んでも症状がよくならない場合は、まず飲むタイミングと生活習慣を見直します。
漢方薬は食前または食間(食後2時間ほど)に服用するのが一般的です。食後すぐの服用や飲み忘れを避け、決まった時間に続けましょう。食後はすぐに横にならず、就寝の2〜3時間前までに食事を終えるようにします。脂っこい食事やアルコールを控え、腹八分目を心がけます。眠るときは上半身を少し高くすると逆流を防ぎやすくなります。
これらを守っても症状が続く場合は、自己判断せずに受診し、服薬状況や生活の様子を医師に伝えましょう。
参照:『健康を守る 運動・漢方・笑い』(日本漢方生薬製剤協会)
編集部まとめ

逆流性食道炎は、胃酸を抑える薬で改善することが多いものの、症状が残る場合もあります。そのようなときに、消化管の動きを整える薬や漢方薬を併用することで、胸やけや胃もたれ、のどの違和感が軽くなる方もいます。
六君子湯や半夏瀉心湯、半夏厚朴湯などは、体質や症状に合わせて使い分けられ、胃の動きを助けたり、自律神経の緊張をやわらげたりする働きがあります。ただし、これらの薬はすべての方に効果があるわけではなく、副作用や相互作用にも注意が必要です。特に、甘草を含む漢方はむくみや血圧上昇が起こることがあります。
漢方薬は、酸分泌抑制薬の補助的な位置づけとして、医師の指導のもとで正しく使うことが大切です。生活習慣の改善と組み合わせて治療を続けることで、再発を防ぎながら、より快適な日常生活を取り戻すことができます。
参考文献
『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2021(改訂第 3 版)』(日本消化器病学会)
『逆流性食道炎に対する漢方治療』(昭和大学江東豊洲病院消化器センター)『健康を守る 運動・漢方・笑い』(日本漢方生薬製剤協会)

