粉瘤は体質だけでなく、日々の生活習慣や肌への負担とも深く関わっています。特定の生活習慣を続けていると、皮膚の防御機能が弱まり、毛穴が詰まりやすくなることで粉瘤ができやすくなるのです。また、粉瘤はできやすい部位が決まっており、その理由を知ることは予防や早期発見につながります。摩擦や圧迫などの物理的な刺激が、発症のきっかけとなる場合も少なくありません。

監修医師:
本木 智輝(医師)
新潟大学卒業
日本医科大学皮膚科助教
粉瘤ができやすい生活習慣と部位
粉瘤は体質だけでなく、日々の生活習慣や肌への負担とも深く関わっています。特定の生活習慣を続けていると、皮膚の防御機能が弱まり、毛穴が詰まりやすくなることで粉瘤ができやすくなるのです。また、粉瘤はできやすい部位が決まっており、その理由を知ることは予防や早期発見につながります。
摩擦や圧迫を受けやすい生活をしている方
日常的に特定の部位が摩擦や圧迫を受ける生活習慣を持つ方は、粉瘤ができやすい傾向にあります。衣服による継続的な摩擦、バッグやリュックサックの肩紐による圧迫、長時間の座位による臀部への圧力などが、皮膚への刺激となり得るのです。
これらの物理的刺激は、皮膚の表面にある毛穴や皮膚の開口部を損傷させたり、皮膚の一部が内側に入り込んだりする原因となります。その結果、袋状の構造物が形成され、粉瘤の発生につながると考えられています。
職業的に特定の部位への摩擦が避けられない場合でも、クッション性のある下着や衣類の選択、休憩時の姿勢の工夫などによって、刺激を軽減することは可能でしょう。日常生活での小さな配慮が、粉瘤の予防につながる可能性があります。
粉瘤が好発する身体の部位
粉瘤は全身のどこにでも生じる可能性がありますが、特に顔面、首、背中、耳の後ろ、臀部などに多く見られます。これらの部位には共通して、皮脂腺が多く分布していることや、摩擦・圧迫を受けやすいという特徴があるのです。
顔面では頬や額、鼻周辺に生じやすく、目立つ部位であることから美容的な悩みにもつながりやすいでしょう。耳の後ろは見落としがちな部位ですが、袋状の構造物が触知しやすく、炎症を起こすと痛みを伴うことがあります。
背中や臀部は自分では見えにくい部位であるため、家族やパートナーに指摘されて気づく場合も少なくありません。これらの部位は衣服との摩擦も多く、粉瘤が大きくなってから発見されることも多いため、定期的な皮膚の観察が重要です。
まとめ
粉瘤は誰にでも生じる可能性がある良性の皮膚腫瘍ですが、放置すると徐々に大きくなり、炎症やにおいなどの問題を引き起こすことがあります。できやすい人の特徴を理解し、早期に発見することで、小さいうちに治療を受けることが可能となります。手術費用は保険適用で数千円〜1万円台が一般的であり、治療方法も複数の選択肢があります。においや美容面での悩みも含め、気になる症状があれば皮膚科や形成外科を受診し、専門医と相談しながら適切な治療を受けることをおすすめします。
参考文献
公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 粉瘤(アテローム)」
慶應義塾大学病院医療・健康情報サイト「粉瘤(アテローム)」
公益社団法人日本形成外科学会「粉瘤(アテローム・表皮嚢腫)」
厚生労働省「外科手術の保険点数について」

