性病「クラミジアを疑う症状」はご存じですか?男女別に医師が解説!

性病「クラミジアを疑う症状」はご存じですか?男女別に医師が解説!

皆さんはクラミジアという感染症について聞いたことはあるでしょうか。性病のひとつというイメージが強く、なんとなく怖い病気と感じている方も多いと思います。

今回は、クラミジアとはどんな病気なのか・どのような経路で感染するのか・自覚症状はあるのか・予防するにはどうしたらいいか・不妊症のリスクはあるのか、といった点についてお話していきます。

この記事でクラミジアについての正しい知識をつけ、健康な暮らしに役立てていきましょう。

※この記事はメディカルドックにて『「クラミジア」とは?症状・感染経路・検査についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

浅野 仁覚

監修医師:
浅野 仁覚(医師)

福島県立医科大学大学院卒業。所属:ロイヤルベルクリニック。主な研究内容・論文:切迫早産、先天性サイトメガロウイルス感染症、子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術など。

クラミジアの検査と治療

パソコンの前で話を聞く医者

受診を検討すべき症状を教えてください。

男性の場合はクラミジアに感染すると尿道で炎症を起こすため、下記の症状がある場合は早めに受診しましょう。

排尿時の痛み

尿道のかゆみ・不快感

サラサラした透明な膿が出る

とくに排尿時に焼けつくような痛みが出るのが特徴です。尿道炎が悪化すると睾丸にも痛みや腫れが現れます。

女性の場合は初期段階では自覚症状がほとんどありません。女性がクラミジアに感染した場合、最初に子宮頚管に症状が現れます。

性行為の後、下記の症状がある場合は注意が必要です。

おりものが増える

おりものの臭いが強くなる

下腹部痛

不正出血

性交痛

子宮頚管が炎症を起こすとおりものの量が増えたり、黄色や緑色に変色したりします。

性行為の後、おりものに変化が現れた場合はクラミジアの感染を疑い、早めに受診しましょう。

どのような検査を行いますか?

クラミジアの検査方法は複数あり、感染部位によっても方法が異なります。男性の場合、性器の検査では尿検査を行います。

通常の尿検査では出始めの尿は捨てますが、クラミジアの検査では尿の最初に含まれる尿道の雑菌が必要です。

女性の場合、膣分泌液(おりもの)や感染しやすい子宮頚管の粘膜を綿棒でぬぐった液を検査します。肛門の場合は肛門をぬぐって検査します。

肛門へのクラミジア感染は肛門のすぐ上にある直腸部分に起こるため、肛門から数cmの深さをぬぐいますが細い綿棒を使用するので体への負担は少ないです。

咽頭の場合はうがい液やのどの粘膜を採取して検査します。ただし、のどの検査では性器への感染を調べることはできません。

クラミジアの治療方法が知りたいです。

クラミジアの主な治療は投薬による薬物療法です。

抗生物質を服用するだけで感染症の原因となるクラミジア・トラコマチスは死滅しますが、以前には見られなかった耐性菌も見られるようになっていますので、感染にはより一層の注意が必要です。

完治させるためにはパートナーと同時に治療を受けることが重要です。

一方が感染している場合はもう1人も感染している確率がきわめて高いため、パートナーに症状がない場合も一緒に受診しましょう。

また、治療中はクラミジアが完全に死滅していないため、性行為は危険です。

薬を飲み始めてから3~4週間後に再検査を受け、完治するまで性行為は控えてください。

クラミジアの予防とリスク

避妊具

クラミジアを予防する方法を教えてください。

パートナーがクラミジアに感染している場合、高い確率でもう1人も感染します。

予防にはコンドームの使用が効果的です。コンドームを使用せずに性行為を行うと50%の確率で感染します。

パートナーが変わった場合は検査を行ったり、不特定多数との性行為を控えることも重要です。

クラミジアを放置するとどのようなリスクがありますか?

クラミジアを放置した場合、男女ともに不妊の原因となる可能性があります。

男性の場合、クラミジアは尿道に感染しますが、放置すると前立腺炎や精巣上体炎の原因となります。精巣上体炎は精巣上体=副睾丸が腫れる病気で、男性不妊の原因のひとつです。

女性の場合、初期段階では子宮頚管で炎症が起こります。痛みがほとんどないため自覚症状がないことが多いですが、放置するとクラミジアは体内を遡るため、注意が必要です。

卵管まで達すると卵管炎を引き起こし、卵管が完全につまってしまうと卵管性不妊症の原因となります。

症状がさらに進行すると炎症が骨盤や腹腔内にも広がり、骨盤腹膜炎を引き起こします。

妊娠・出産への影響も知りたいです。

妊娠中の女性がクラミジアに感染したまま出産した場合、胎児への母子感染や流産・早産を引き起こすリスクもあります。

クラミジアが胎児の卵膜に感染すると「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」を引き起こし、破水の原因になります。

性器のクラミジア感染症が流産・早産につながる可能性は低いですが、妊娠を望む場合はクラミジアの検査をしましょう。

妊娠後期にクラミジアに感染している場合は赤ちゃんへの感染リスクが高まり、約10%で産道感染が起こります。

赤ちゃんがクラミジアに感染した場合、約25~50%が「新生児結膜炎」を発症し、約10~20%が「新生児肺炎」を発症します。

新生児結膜炎は生後数日、新生児肺炎は生後1~3ヶ月で症状が現れますが、命に関わるほどの危険性はありません。しかし、赤ちゃんの体には大きな負担がかかります。

妊娠した場合は適切な時期に検査を受けましょう。

妊娠中にクラミジアへの感染が判明した場合でも、母体や胎児への危険が少ない抗菌薬を服用することで治療ができます。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

クラミジアは命にかかわるほど深刻な症状が出ないため、気づかないうちに周囲に感染を広げてしまうことが多く、社会問題となっています。

以前では、10代後半から20代の若い世代を中心に増加傾向となっていた疾患ですが、最近は30代から40代でも見られていますので、注意が必要です。

知らないうちに大切な人に感染させてしまい、人間関係のトラブルに発展してしまうのは悲しいことです。

くれぐれも不特定多数との性交渉は行わないようにし、コンドームを正しく使用して、大切な人との楽しい生活を送ってほしいと思います。

配信元: Medical DOC

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