
数年前からホラー漫画を執筆し、SNSを中心に短編作品を公開している色白ゆうじろうさん(@mrwhiteblogger)。その独特な世界観と、続きが気になってしまうストーリー展開が魅力だ。今回は、色白さんが描く珠玉のホラー短編を3作紹介するとともに、代表作「くらやみこうえん」の制作秘話を著者に聞いた。
■園児を洗脳する「呪物」のような絵本



ある幼稚園で、園児たちの間で「くらやみこうえん」という奇妙な絵本が流行し始める。その絵本には文章が全くなく、薄暗い公園に人影がぽつんと描かれているだけ。しかし、この絵本を見た園児は、夢の中で「くらやみこうえん」に行き、謎の存在「くらやみくん」と遊べるのだという。
絵本に魅了された園児たちは、次第に執着を深め、ぼんやりと生気を失っていく。異変に気づいた先生は解決策を見出せず、売れないホラー作家のKに相談を持ちかける。Kのアドバイスにより、事態は意外な結末を迎えるのだが...。
■娘の噂話から生まれた恐怖
本作の着想について、色白ゆうじろうさんに話を聞いた。
「幼稚園児の娘が話していた『「くらやみこうえん」という公園がある』という噂話を活かして描きました。実際は子どもだけが知る楽しい公園らしいのですが、『園児たちだけが知る暗闇の公園』と聞くと不気味な感じがしたので、その雰囲気を活かしたお話を作るようにしました」
作中では、ある方法によって園児たちは救われる。もしその解決策が提示されず、悪夢が続いていたらどうなっていたのだろうか。
「園児たちは心や生命力を吸われ続けていたかもしれません。寄生虫が宿主を完全に殺さず、必要最低限の栄養だけを取り続けるように、『くらやみくん』も園児たちを生かしながらじわじわと力を奪っていたのかもしれません」
■背筋が凍る短編ホラーの数々


色白さんの作品はこれだけではない。「包帯ぐるぐる巻きの子ども」では、中古住宅を購入したサラリーマンTさんの恐怖体験が描かれる。洗車を終えて車を発進させようとした瞬間、サイドミラーに全身包帯姿の子どもが映り込み、じっとこちらを見据えていたのだ。その指が差す右後輪を確認しに行くと、そこには3歳になる娘の姿があった。「もし気づかず後退していたら...」と、Tさんは心霊現象の意味に戦慄する。
また、「許嫁の幽霊に呪われた男性!?」では、旧名家の因習と愛憎が描かれる。父の13回忌と、井戸に身を投げた許嫁・B代の初盆を迎えたA太郎。周囲で不可解な現象が頻発し、ついにB代の幽霊が姿を現す。そこで告げられる事実はあまりに衝撃的だ。
色白ゆうじろうさんは、このほかにもさまざまなホラー漫画を公開している。興味がある人は、ぜひ一度読んでみてほしい。
取材協力:色白ゆうじろう(@mrwhiteblogger)
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