
監修医師:
渡邊 雄介(医師)
所属
国際医療福祉大学教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長
アデノイド増殖症の概要
アデノイド増殖症とは、アデノイド(咽頭扁桃)が異常に大きくなって耳や鼻、のどなどにさまざまな症状が現れる疾患です。小児の発症が多いですが、成人に発症することもあります。
アデノイドとは、のどの奥に位置するリンパ組織で、細菌やウイルスの侵入を防御する免疫機能があります。通常3~6歳頃までの小児はアデノイドが大きく、成長に伴い小さくなっていくことが一般的です。
何らかの原因によってアデノイドが異常に大きくなると、空気の通り道が狭くなり、呼吸や飲み込みが障害されたりすることがあります。呼吸が障害されることで、睡眠中に呼吸が一時的に止まったり、いびきをかいたりする「睡眠時無呼吸症候群」を伴うケースもあります。
アデノイドがさらに大きくなると、鼻と耳をつなぐ耳管が閉塞して中耳炎や難聴を併発したり、のどから鼻につながる後鼻孔が詰まって副鼻腔炎を発症したりする恐れもあります。
長期的には、歯並びに悪影響を及ぼしたり、呼吸のしにくさやのどの痛みが原因で食事が十分に取れなくなり、体重が減少したりすることもあります。
このようにアデノイド増殖症では、単にアデノイドが大きくなるだけでなく、日常生活に支障を来したり、身体の成長にも悪影響を及ぼす恐れがあることが特徴です。
アデノイド増殖症は、感染症やアレルギー、刺激物の摂取などさまざまな原因によって発症します。特に小児では保育園等の集団生活で感染症にかかる機会が多く、発症のリスクが高い傾向にあります。
アデノイド増殖症の発症を認める場合には、感染症など原因に対する治療に加え、呼吸障害などがある場合にはアデノイドの切除術が考慮されることもあります。

アデノイド増殖症の原因
アデノイドは生理的に大きくなるものですが、さまざまな原因によって異常に大きくなることがあります。例えば、のどにウイルスや細菌感染を生じたり、アレルギーを起こしたりすることが原因でアデノイドが腫れることがあります。

