若年性認知症とは?メディカルドック監修医が若年性認知症の症状や特徴・初期症状などを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「若年性認知症」の初期症状やなりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
「若年性認知症」とは?
若年性認知症とは65歳未満で発症する認知症のことです。認知症は高齢になるにつれて有病率が高くなる病気であり、厚生労働省の報告では、本邦における認知症高齢者の数は2014年時点で約462万人に対して、若年性認知症の数は2009年時点で約37800人と少なく、2000人に1人に満たない程度です。また、若年性認知症の中でも有病率は年齢が65歳に近づくほど高く、若年性認知症の85%は50歳以上が占めます。
若年性認知症は発症頻度の低い病気ですが、勤務をしている現役世代に発症するため、発症により失職してしまうなど生活に与える影響は大きく、本人や家族に精神的にも経済的にも大きな負担が生じる病気です。若年性認知症の中には生活習慣の改善などにより発症を予防したり、早期の治療により認知機能の悪化を抑えたり、認知機能を改善できたりするものもあるため、適切な知識を身につけて発症の予防や早期の発見に努めましょう。
若年性認知症の代表的な症状や特徴
若年性認知症は65歳未満に発症した認知症の総称であり、原因には血管性認知症やアルツハイマー病、前頭側頭型認知症、自己免疫性脳炎など様々なものがあります。疾患ごとに症状が異なるため概説は困難ですが、若年性認知症で比較的よくみられる症状をご紹介します。
物忘れ、新しいことを覚えられない
物忘れは若年性認知症の多くを占めるアルツハイマー病によくみられる症状です。認知症でない方でも、約束の日時や場所を忘れるなど物事の詳細を忘れてしまうことは度々あるかと思いますが、約束をしたこと自体を忘れる、貴重品を何度も紛失する、以前と比べて明らかに物覚えが悪くなった場合には若年性認知症の可能性があります。
スケジュールの記載が可能なメモやアプリを使用し、予定ができたらすぐに記載し、予定の有無にかかわらず確認することを習慣化することなどで、ある程度の対応が可能な場合もありますが、日常生活に支障があるような物忘れがある場合や急激に物忘れが悪化した場合には脳神経内科や脳神経外科、認知症外来を受診しましょう。
性格の変化、異常な行動
血管性認知症や前頭側頭型認知症、辺縁系脳炎などでは、性格が変わったり、理解困難なこだわりが出現したり、怒りっぽくなったりすることがあります。これまでできていたことができなくなった、周囲の話を聞かなくなった、道に迷うようになったなど、本人の様子が変わってきた場合には脳神経内科を受診しましょう。
このような症状では、本人は異常である自覚が乏しいことが多く、自身では症状の説明が困難です。また、医療機関への受診を拒否することも少なくありません。状況をよく知る家族が付き添って受診をするようにしましょう。
ぼんやりしている
アルコール認知症やWernicke脳症、肝性脳症などでは、ぼんやりとして反応が鈍くなったり、動作が遅くなったりなどの症状がみられることがあります。特に普段から飲酒量の多い方で、反応が鈍い、ぼんやりしていることが増えた場合には内科または脳神経内科を受診しましょう。

