上顎洞がんの治療
上顎洞がんの治療法は、外科治療や放射線治療、化学療法、光免疫療法などがあり、がんの進行度や年齢、健康状態などを考慮して検討します。
上顎洞がんは早期発見が難しく、発見されたときには、すでにほかの周辺臓器まで広がっている可能性があります。
神経や筋肉、眼球などに広がっている場合は、手術で傷つけるリスクがあるため、外科治療や放射線治療、化学療法を組み合わせた治療が行われます。
手術が可能な場合は外科治療が選択されますが、外科手術が難しい場合には放射線治療が行われます。放射線治療は外科手術の後に行うこともあれば、化学療法と併用したりすることもあります。
化学療法や放射線治療で治療効果がみられた場合は、追加で手術を行うこともあります。
化学療法では抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などが用いられます。
超選択的動注化学療法という抗がん剤治療では、体内に挿入したカテーテルを上顎洞がんの栄養血管に進め、動脈から大量の抗がん剤をがんに注入します。
光免疫療法は、2021年に保険適用になった新しい治療法です。
がんに蓄積し特定の光で活性化する特殊な薬剤を投与し、がんの部位に光を当てて薬剤の活性化を促すことでがんを攻撃します。上顎洞がんの光免疫療法は、がんの切除が難しく転移をきたしていない場合や転移のない再発した場合が適応となります。手術が可能なケースや放射線治療などの治療が行われていないケースは、光免疫療法の対象にならないことがあるため注意が必要です。また光免疫療法はすべての医療機関で治療できるわけではありません。治療を提供できる医療機関が限られているため、光免疫療法を受けたい場合は主治医に相談しましょう。
上顎洞がんになりやすい人・予防の方法
上顎洞がんは60-80代で発症しやすく、女性よりも男性に多い傾向があります。
上顎洞がんは副鼻腔の粘膜の炎症と関連性があると考えられており、慢性的な炎症を引き起こす慢性副鼻腔炎や喫煙の習慣は、上顎洞がんを引き起こすリスクを高めることが明らかになっています。
根気強く慢性副鼻腔炎の治療に取り組み、日常的に喫煙の習慣がある人は禁煙を心がけることが予防に効果的です。
関連する病気
副鼻腔がん慢性副鼻腔炎上咽頭がん参考文献
国立癌研究センター癌情報サービス 「癌統計」(全国癌登録)全国癌罹患データ(2016年~2020年)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻副鼻腔腫瘍の診断と病理 3.病理」
久留米大学病院「頭頚部癌 鼻、副鼻腔癌」
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会上顎癌
耳鼻咽喉科臨床学会「上顎癌と慢性副鼻腔炎との相関推計学的考察」
厚生労働省「木材粉じんによる癌」
日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会「鼻副鼻腔Ⅰ.診断」
日本癌治療学会 癌診療ガイドライン Ⅱ 診断
日本頭頸部癌学会 Ⅶ. 化学療法(抗癌剤治療)
国立癌研究センター東病院光免疫療法
国立癌研究センター「癌光免疫療法全般に関するQ&A」

