妻夫木聡“栗須”の涙の分だけ感動があった…目黒蓮“耕一”とともに継承した夢の行方<ザ・ロイヤルファミリー 最終回>

妻夫木聡“栗須”の涙の分だけ感動があった…目黒蓮“耕一”とともに継承した夢の行方<ザ・ロイヤルファミリー 最終回>

さまざまな“涙”の演技で視聴者を魅了した主演の妻夫木聡
さまざまな“涙”の演技で視聴者を魅了した主演の妻夫木聡 / (C)TBSスパークル/TBS

妻夫木聡が主演を務める日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系/TVerにて配信)の最終回となる第10話が12月14日に放送された。栗須(妻夫木)が追い続けた20年にわたる夢。タイトルがトレンド1位になる反響で有終の美を飾った。(以下、ネタバレを含みます)

■人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語

同ドラマは、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した早見和真の同名小説が原作。競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが家族や仲間との絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる物語を描く。

妻夫木が演じるのは、大手税理士法人に勤める税理士から人材派遣会社・株式会社ロイヤルヒューマンに転職した栗須栄治。ほか、栗須の人生を大きく動かすロイヤルヒューマンの創業社長で競馬界では有名な馬主・山王耕造を佐藤浩市、栗須の元恋人で馬の生産牧場を営む野崎加奈子を松本若菜、耕造の隠し子・中条耕一を目黒蓮(Snow Man)が務める。

■ロイヤルファミリーが栗須と耕一の夢の舞台だった有馬記念へ

耕造の亡き後、相続馬限定馬主としてロイヤルファミリーを引き継いだ耕一をレーシングマネージャーとして支える栗須。失明という絶望の淵から奇跡の復活を遂げたロイヤルファミリーは、険しく厳しい条件が立ちはだかる中で、ジャパンカップを制し、耕造と栗須、そして耕一が夢見続けた“有馬記念”の舞台に立つことが決まった。耕一はそれを最後にロイヤルファミリーの引退を決めていた。

有馬で強敵となるのは、“本命”に予想される、耕造と仕事も同業で馬主としてもライバルだった椎名(沢村一樹)の息子・展之(中川大志)の馬、ソーパーフェクト。ただ、耕一は椎名の馬で、ロイヤルファミリーと同じロイヤルホープの血を引いたビッグホープも気になっていた。

そんなある日、栗須は手元にあった歴代の馬のデータを記したファイルを見つめながら、耕造と出会い、思いがけず競馬の世界に足を踏み入れた日々を思い返して瞳を潤ませた。

レースを前に、耕一とともに耕造の墓参りに行った栗須は、妻となった加奈子と話し合い、マネージャーを辞めたあとは引退した競走馬を預かる養老牧場に勤めると報告する。「最後まで馬を見守る仕事」に就くことにしたのだ。「勝った馬も勝てなかった馬も、等しく命をまっとうできる。そんな最高な牧場を作ることが今の私の新しい夢です」と栗須。

それを聞いて「こうやって夢は続くんですね」と言った耕一は、自らの先の夢ははっきりと見えていなかった。

■耕一が語る「継承」するということ、そして栗須の感動の涙

迎えた2025年の有馬記念のレース当日、「君も親父も全部ぶっちぎって俺が勝つ。へばりついた古臭い夢、俺がはぎ取るよ」と宣戦布告する展之に耕一は言う。

「展くんは継承を否定するけどさ、はぎ取れないよ、夢は。だって、父親の夢じゃない。俺の夢だから。継承は、押し付けられるものじゃない。選び取るものなんだよ。受け取る人間の数だけ、受け継ぐものがある。俺は望んで夢を受け取って、自分のものにしたんだよ」。

かつて展之が言っていた「継承の奴隷になるなよ。継承って言や、立派に聞こえるけど、要は負債の繰り越しだから」ということへの返しでもあった。

いよいよレースが始まる。ロイヤルファミリーに騎乗するのは、加奈子の息子・翔平(市原匠悟)。ソーパーフェクトはルメール騎手(※本人役)、そしてビッグホープは、かつてロイヤルファミリーに騎乗していた隆二郎(高杉真宙)だ。

ソーパーフェクトとロイヤルファミリーの叩き合い。“叩き合い”とは、競馬用語で馬が競り合う様子のことをいう。ところが、そこにビッグホープが加わる。

テレビの前でも手に汗握る展開。ロイヤルファミリーの応援をしていた栗須は、いつしか感無量の表情になる。夢を追い始めることになったロイヤルホープの子が2頭、有馬という舞台で勝利を競っているのだ。「社長(※耕造のこと)、あなたの馬が…あなたの子どもたちが、ここに…」。栗須は泣いていた。

■“継承”に含まれていた夢の驚くべき結末

並んでゴールインしたロイヤルファミリーとビッグホープ。写真判定で勝利が決まったのは、ビッグホープだった。

そのビッグホープについて、驚くことが明かされた。第7話で、入院中の耕造を見舞った椎名が「私はまだ大人げないので」と封筒を渡すシーンがあった。その真相は、「社長と私で、最強の馬を作りませんか」というもので、ロイヤルホープの種を買い付ける申し出だったのだ。

勝利に酔いしれる椎名は目を潤ませながら、栗須に告げる。「私にも約束したことがあるんです。社長の馬に有馬を取らせるという約束が」。椎名から手を差し出された栗須は、耕造からもらった時計を重ねて握手した。

栗須と耕造の夢がこのようなかたちでかなうとは、想像以上の感動だった。この最終回だけでなく、栗須が何度も流してきた涙を思うと胸が熱くなる。

レースを終え、耕一はロイヤルファミリーがまだ走りたいと思っているのではという考えを栗須に明かした。引退撤回するとなると相当な覚悟がいる。栗須は「馬に決めてもらいましょうか、ファミリーに」と言った。その後に描かれたのは、ロイヤルファミリーが翌年に快進撃したということ。第1話で、耕造が馬は自分が勝ったことを分かっていると言っていたが、それにも通じるような展開だ。そして、2030年には事業に成功したらしい耕一が馬主の資格をとり、養老牧場を営んでいる栗須に会いに行くつもりだというラスト。新たな“継承”を感じさせた。

「#ロイヤルファミリー」がトレンド1位に輝く反響があったSNSには「いろいろなものが継承されていくんだ」「『継承』と言って次代の戦いを見せておきながら、最後は次代の壁となった先代のコンビが勝つと言う展開は熱かった」「最高のドラマだった」などの感想のほか、「栗須さんの涙に毎度やられた」「栗須の涙に毎回心を揺さぶられました」といった声も上がった。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

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