掻痒症の治療
掻痒症のかゆみを引き起こす原因となっている疾患がある場合は、その疾患の治療が優先されます。同時に、ドライスキンがある場合は、保湿剤(ヘパリン類似物質製剤、ワセリンなど)の使用が有効だと考えられています。保湿剤を使用することにより、皮膚の角質層のバリアを修復し、かゆみなどの皮膚症状を改善することが期待できます。
皮膚掻痒症の治療では、抗ヒスタミン薬、外用鎮痒薬(オイラックス)、漢方薬などの薬剤が処方されることが一般的です。また、保険適用外の治療ではありますが、紫外線療法が行われることもあります。紫外線療法は、腎障害を伴う掻痒症に対して効果が期待できるとされています。
掻痒症になりやすい人・予防の方法
掻痒症のかゆみは、ドライスキンと深い関係があると考えられています。そのため、ドライスキンになりがちな高齢の方、乾燥肌の方は、掻痒症になりやすい可能性があります。
かゆみを引き起こすとされている内臓疾患(腎臓や肝臓・胆道の疾患、糖尿病やホルモン異常、白血病やリンパ腫などの血液・内臓の悪性腫瘍、HIV感染症)、妊娠中の方、血液透析を行っている方も、掻痒症になるリスクが高いと考えられます。
掻痒症の予防には、適切なスキンケアと保湿が効果的です。汗や汚れなどをしっかり落とし、皮膚を清潔にすることは重要ですが、過度に洗浄しすぎるとかえって皮膚の乾燥を招く原因になります。皮膚の乾燥を予防するため、洗浄力の強すぎる石けんやシャンプー、角質層を傷つけやすいナイロンタオルの使用、高い温度での入浴は避けるようにしましょう。
また、かゆみを感じたところを繰り返しかくと、さらにかゆみが増してかゆみが長引く可能性があります。この悪循環を防ぐためにも、爪は短く切って皮膚を傷つけないようにし、なるべくかかないようにしましょう。
関連する病気
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参考文献
公益社団法人 日本皮膚科学会 日皮会誌:130(7),1589-1606,2020(令和 2) 皮膚瘙痒症診療ガイドライン 2020
公益社団法人 日本皮膚科学会 痒疹・かゆみ Q5~Q7
Nature Communications Neuronal pentraxin 2 is required for facilitating excitatory synaptic inputs onto spinal neurons involved in pruriceptive transmission in a model of chronic itch

