先天性食道閉鎖症の前兆や初期症状について
先天性食道閉鎖症を発症していても胎児期(母親のおなかの中)では、無症状です。ただし、食道が閉鎖されていると胎児が羊水を飲み込んで吸収できないため、母体において羊水過多を認める場合があります。妊娠中の超音波検査で、胎児の食道や胃付近の所見から、この病気の前兆を発見できる場合もあります。
出生後の症状としては、口から唾液があふれ出る、嘔吐する、胃に空気が入り込んで腹部が膨満するなどの症状がみられます。ただし、こうした症状は食道閉鎖の状況や気管とのつながり方にも影響されやすく、気づかれにくいケースもあります。
発見や処置が遅れると、唾液の誤嚥や、胃液が肺に流れ込むことにより、肺炎や呼吸困難といったさらに重篤な症状を引き起こす可能性があります。
先天性食道閉鎖症の検査・診断
先天性食道閉鎖症の検査には、出生前におこなえる検査と、出生後におこなわれる検査があります。ただし、この病気を発症していても必ずしも出生前にわかるわけではなく、胎児診断率(出生前の検査で診断できる確率)は5割に届かないとされておりいます。したがって出生後に確定診断となるケースも少なくありません。
出生前の検査は超音波検査がおこなわれます。超音波検査によって羊水過多や食道上部の拡張などが確認された場合、先天性食道閉鎖症を疑います。
出生後の検査では、鼻もしくは口からカテーテルとよばれる柔らかい細いチューブを挿入し、カテーテルが食道で反転していることを確認します。
先天性食道閉鎖症では、他の先天性の心疾患や消化器疾患などを合併しているケースも多いことから、心臓超音波検査や腹部超音波検査などをおこなうこともあります。
上記の検査などにより、出生後には先天性食道閉鎖症の病型まで判定できます。判明した病型や、新生児の健康状態、他の併発症などの状況を総合的に判断し、治療方針が決められます。

