先天性食道閉鎖症の治療
先天性食道閉鎖症の治療は、分断されている食道と食道の吻合(ふんごう)をする、あるいは気管と食道を切り離すための外科的手術が基本となります。
側胸部を切り開いて手術をおこなうことが多いですが、胸腔鏡手術が可能な場合もあります。
可能なら出生後すみやかに治療を開始するのが理想ですが、先天性食道閉鎖症の病型、併発している他の疾患の重症度、新生児の健康状態から総合的に判断し、すぐに手術をおこなえない場合があり、治療の優先順位が変わることもあります。
このような場合は胃瘻(いろう)の設置・誤嚥予防などの手術を優先し、体重増加・臓器の成熟を待ちながら、複数回の手術を行うのが一般的です。
先天性食道閉鎖症の治療においては、根治できるまでには複数回の再手術が必要となったり、その他の合併症などの治療も並行したりする可能性があり、長期的なケアを要します。
先天性食道閉鎖症になりやすい人・予防の方法
先天性食道閉鎖症は原因が特定されていない先天性疾患であり、完全な予防は困難とされています。遺伝的要因がない発症例も知られているため、なりやすい人を断定することはできません。妊娠中の超音波検査による胎児の発育状態の観察や羊水量の評価は、先天性食道閉鎖症の早期発見につながる可能性があります。したがって、定期的な妊婦検診を受けることは、この疾患の予防にはならずとも、発症への備えにはなると言えるでしょう。
出生前に所見が認められた場合は主治医の指示に従うことが大切です。
出生後に先天性食道閉鎖症が判明する場合に備え、適切な処置が受けられるような出産環境が望まれます。
関連する病気
大血管奇形
18トリソミー
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参考文献
日本小児外科学会「食道閉鎖症」
一般社団法人日本小児外科学会「先天性食道閉鎖症」
大阪大学医学部附属病院「先天性食道閉鎖症」
慶應義塾大学病院医療・健康情報サイト「先天性食道閉鎖症」
食道閉鎖と気管食道瘻 – MSDマニュアル家庭版

