救急現場でどう対応する? 「多発外傷」の初期対応と治療の考え方を医師が解説

救急現場でどう対応する? 「多発外傷」の初期対応と治療の考え方を医師が解説

勝木 将人

監修医師:
勝木 将人(医師)

2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.

多発外傷の概要

多発外傷は、頭部と頸部(頸)、顔面、胸部、腹部、手足と骨盤、体表の6区域にわけたときに、同時に複数の区域に重度の損傷が起きた状態を指します。

多発外傷の原因は、交通事故や高所からの転落等の事故、あるいは自然災害などがあります。症状は損傷された部位や程度によって異なり、肋骨などの多発骨折や内臓破裂、腹腔内出血、胸部外傷、外傷性の気胸などさまざまで、いずれも救急の処置が必要とされます。さらに頭部外傷や多臓器不全、出血性ショックなど、より重篤な症状が含まれる場合があり、処置が遅れれば患者が早急に死亡する恐れもあります。

多発外傷の検査では、血液検査や画像検査など必要となる各種の検査をおこないますが、緊急度によっては検査を実施せずに治療や救命処置を優先します。

治療においてもは、生命に最も関わる損傷から対応し、応急処置によって生命を救うことを優先します。

損傷に対する根本的な治療や、生命に直接関わることのない損傷の治療は急性症状が落ち着いた後におこなわれます。多発外傷では、長期的な入院治療、栄養管理やリハビリテーションなどが必要になるケースも珍しくありません。

多発外傷

多発外傷の原因

多発外傷でよく見られる原因として交通事故が挙げられ、自動車や鉄道との衝突が代表的です。ほかにも産業現場での機械操作の誤りや、日常生活における転倒、高所からの転落・墜落などさまざまな事故が多発外傷につながる要因となります。

また、自然災害あるいは暴力行為などに巻き込まれ、多発外傷を受けるケースもあります。こうした事故の大半は、不慮の出来事として発生するものですが、自殺企図や第三者からの意図的な危害、戦争やテロなどの社会的混乱の結果として生じることもあります。

配信元: Medical DOC

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