胆嚢摘出後症候群の前兆や初期症状について
胆嚢摘出後症候群の初期症状は、下痢や吐き気、腹痛、腹部膨満感、黄疸(皮膚や粘膜が黄色くなる症状)などです。乳頭括約筋不全が起きている場合は、右上腹部の痛みが生じることがあります。
胆汁の十二指腸への流入が適切に調節されないことで、持続的な胆汁の流入や胆管での停留が起こり、消化不良を引き起こします。消化不良が続くと、胃炎や逆流性食道炎、消化性潰瘍などの症状が二次的に現れることがあります。これらの症状は脂肪分が多い食事の後に起こりやすいです。
胆嚢摘出後症候群の検査・診断
胆嚢摘出後症候群の診断は主に術後の症状の経過によっておこなわれます。
術後の症状に応じて血液検査や画像検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)などをおこないます。胃炎や逆流性食道炎、消化性潰瘍などの二次的症状が疑われる場合は、それぞれの疾患に応じた検査を追加することもあります。
血液検査
血液検査では、炎症所見や肝臓・膵臓の機能を評価するために、CRP、白血球、AST、ALT、ビリルビン、アルカリフォスファターゼ、γ-GTP、アミラーゼ、リパーゼなどの値を測定します。
乳頭括約筋不全が起きている場合は、肝臓や膵臓のマーカーが異常値を示す可能性があります。
画像検査
画像検査では超音波検査やCT検査、MRI検査によって、胆嚢周辺の臓器や器官の状態を詳細に観察します。胆石の残存や落石、腹壁瘢痕ヘルニアなどの有無や、胆管や周辺組織の形態的な異常を確認します。
内視鏡的逆行性胆道膵管造影
内視鏡的逆行性胆道膵管造影はより詳細な胆道系の評価をおこなうための検査です。
口から通した細いカテーテルを胆管や膵管に挿入し、造影剤を注入してレントゲン写真を撮影します。胆管や膵管の損傷、内圧の異常などを詳しく調べることが可能です。

