胆嚢摘出後症候群の治療
胆嚢摘出後症候群の症状は、時間の経過とともに自然に軽快することもありますが、右上腹部の痛みが持続する場合などは再治療が必要になる可能性があります。
治療法は症状の原因や程度によって異なりますが、主に薬物療法と内視鏡的治療が選択されます。二次的症状が生じている場合は、疾患に対する治療もおこないます。
胆石溶解療法
胆石が残存している場合、「ウルソデオキシコール酸」という薬剤を用いた胆石溶解療法がおこなわれることがあります。胆石溶解療法は胆石を徐々に溶かしていく治療で、完全に消失するまで数年かかる可能性があります。非侵襲的であるため患者の負担は少ないという利点があります。
内視鏡的乳頭括約筋切開術
乳頭括約筋不全により狭窄が生じている場合、内視鏡的乳頭括約筋切開術が有効です。
内視鏡的乳頭括約筋切開術は内視鏡を十二指腸まで挿入し、乳頭括約筋を切開することで、胆汁の流出を促します。胆汁の停留が改善されるため、症状の改善が期待できます。
胆嚢摘出後症候群になりやすい人・予防の方法
胆嚢摘出後症候群になりやすい人は明らかになっていません。
胆嚢摘出後症候群の症状を予防するには、術後の食生活の管理が重要です。
脂肪の多い食事は消化酵素によって完全に処理できない可能性があります。揚げ物や脂肪分の多い肉類、スナック菓子などの摂取は控えるようにしましょう。
また、カフェインを含む飲料や刺激の強い食品も避けるべきです。
海藻類やきのこ類などの食物繊維を多く含む食品は腸内環境を整える働きがあるため、下痢や吐き気、嘔吐などの症状を和らげる効果が期待できます。
バランスの取れた低脂肪の食事と適度な運動を心がけ、規則正しい生活リズムを維持することが、胆嚢摘出後の体調管理に役立ちます。気になる症状がある場合は、早めに医師に相談することも大切です。
関連する病気
胆石
胆嚢炎胆嚢ポリープ胆嚢腺筋腫症
胆嚢癌
参考文献
日本臨床外科学会4.胆石症の治療とは
一般社団法人日本肝胆膵外科学会胆嚢結石・総胆管結石
一般財団法人日本消化器病学会胆石症診療ガイドライン2021(改定第3版)
日本臨床外科学会雑誌胆嚢摘出後症候群についての検討

