寒気と頭痛が起こる原因は?メディカルドック監修医が考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
寒気と頭痛の症状で考えられる病気と対処法
寒気と頭痛がある場合、症状ごとにさまざまな原因が考えられます。症状ごとに考えられる原因や対処法を説明します。
寒気と頭痛の症状で考えられる原因と治し方
「熱はないけれど、寒気がして頭が痛い」という場合、風邪の引き始めかもしれません。
ウイルスが体内に侵入すると、体はウイルスと戦う環境を作るために体温を上げようとします。このとき、筋肉を小刻みに震わせて熱を作り出すため、寒気(悪寒)を感じると考えられています。また、風邪の引き始めから頭の重さやだるさを感じることもあります。
まずは体を温め、十分な水分を摂りましょう。温かい飲み物を飲む、洋服を1枚多く着る、布団に入るなどがおすすめです。また、免疫力を助けるために十分な睡眠を摂りましょう。
しかし、数日経っても症状が改善しない場合や、その後38度以上の高熱が出てきた場合は、内科を受診してください。
寒気があり鼻水と頭痛の症状で考えられる原因と対処法
寒気と頭痛に加えて鼻汁が出てつらい場合は、副鼻腔(ふくびくう)という鼻の穴の奥にある部分が炎症を起こす「副鼻腔炎」の可能性が考えられます。
鼻づまりや、匂いのあるドロッとした鼻水、頬や鼻、おでこの奥の痛みなどがあらわれ、熱が出るケースもあります。
副鼻腔炎の場合、鼻水をしっかりと出すことが大切です。鼻水はすすらずに、こまめにしっかりとかみましょう。入浴や鼻の上を蒸しタオルで温めるなどは、蒸気によって鼻水を出しやすくなったり、粘膜の炎症が軽くなったりすることもあります。
頭痛や頬骨のあたりが痛む、耳の痛みが出てきた、症状が良くならずに続いているなどの場合は、副鼻腔炎の悪化や中耳炎の併発などの可能性があるため、耳鼻咽喉科を早めに受診しましょう。
寒気と頭痛や吐き気、めまいがある症状で考えられる原因と対処法
寒気と頭痛に加えて吐き気やめまいがある場合、脳の血管の拡張や、体温調節機能の異常が疑われます。考えられる原因と特徴、それぞれの対処法を以下に紹介します。
原因 特徴 応急処置
片頭痛 ズキズキと脈打つような痛みがある 暗い部屋で安静にする
熱中症 高温の環境で長く過ごしていた 水分・塩分を摂り、涼しい場所へ移動する
くも膜下出血 突然の激しい頭痛があらわれる すぐに救急車を呼ぶ
応急処置をしても症状が治まらない場合、片頭痛の場合は脳神経内科、熱中症の場合は内科を受診します。ただし、強い頭痛が突然あらわれるくも膜下出血の場合、一刻も早い治療が必要です。すぐに救急車を呼び、専門的な治療が受けられる医療機関を受診しましょう。
39度の熱があり、寒気と頭痛の症状で考えられる原因と対処法
39度を超える高熱で、咳などの症状がないのに寒気と頭痛がする場合、ウイルスや細菌による感染症の可能性が考えられます。
とくに頻尿や排尿時の痛み、背中や腰の痛みなどがあるなら腎臓に細菌が感染して起こる腎盂腎炎(じんうじんえん) 、寒気や頭痛、発熱がいきなり起こった場合はインフルエンザの可能性があるでしょう。
寒気で震えている間は、体が熱を上げようとしている時期なので、1枚多く着る、毛布をかけるなどをして十分に温めてください。熱が上がりきって暑くなったら、服や毛布を減らしても大丈夫です。
尿の異常がある場合は腎盂腎炎を疑って泌尿器科、急な発熱と頭痛の場合はインフルエンザを疑って内科を受診しましょう。
高熱があり、寒気と咳の症状で考えられる原因と対処法
高熱に加えて激しい咳が出る場合、ウイルスや細菌が気管支の奥や肺まで入り込んでいる可能性があります。考えられる病気は、肺炎や急性気管支炎(きゅうせいきかんしえん)、あるいは新型コロナウイルス感染症などです。炎症によって酸素の取り込みが悪くなると、息苦しさを感じることがあります。
部屋を加湿し、マスクをして喉の乾燥を防ぎましょう。熱による脱水が起こりやすいため、水分摂取も欠かせません。
また、衣服をゆるめ、上体を少し起こした姿勢をとると呼吸が楽になることがあります。どの原因による症状であっても、一度受診して適切な薬を処方してもらいましょう。とくに咳が強くてつらい、水分がとれない、酸素が不足して顔や唇の色が悪いなどの場合はできるだけ早く受診してください。
【女性】寒気と頭痛の症状で考えられる病気と対処法
女性の場合、特有のライフステージやホルモンバランスの変化によって症状が現れることがあります。ここでは授乳期と妊娠中に分けて解説します。
乳腺炎で寒気と頭痛がある症状で考えられる原因と対処法
授乳中の方で、胸が赤く腫れて熱く、寒気と頭痛もある場合、乳腺炎を起こしている可能性が高いでしょう。
乳腺とは、母乳を作る部分と乳頭(乳首)まで運ぶ通り道を合わせた組織です。乳腺に母乳が溜まると炎症が起こり、胸の張りや熱っぽい感じ、場合によっては熱が出ることがあります。そこに細菌が入ると炎症が悪化し、悪寒や38.5度以上の高熱、頭痛もあらわれます。
母乳の詰まりが原因の場合、授乳をして出し切ると症状が軽くなることがあります。胸が熱をもっているなら、冷たいタオルなどで軽く冷やして痛みを和らげましょう。
高熱や激しい痛みが続く場合、抗生物質による治療が必要なケースも少なくありません。産婦人科や乳腺外科を早めに受診してください。受診先に困った場合、分娩をした産院へ連絡して受診先を相談するのもひとつの方法です。
妊娠中の寒気・頭痛・つわりの症状で考えられる原因と対処法
妊娠中、風邪をひいていないのに寒気や頭痛を感じることがあります。これは、ホルモンバランスの変化やつわりによる脱水症状によるものかもしれません。
妊娠初期はホルモンの影響で基礎体温が高くなり、熱っぽさやだるさを感じやすい時期といわれています。また、つわりで食事が摂れず脱水気味になると、頭痛が悪化することもあります。
つわりがつらい時期は、無理に食事をしようとせず、水分補給を優先してください。一度に飲まず、少量の水や経口補水液をこまめに摂取しましょう。
水分も吐いてしまうほど症状が重い、めまいがひどいなどの場合は、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。

