●「あなたのことはリスペクトしていますが」
映像や音声の許諾をめぐって、「一方的な情報が出回った」とメディアの問題に触れる中で、会見に出席していた東京新聞の記者に「謝罪はありませんね。あなたのことはリスペクトしていますが、非常に遺憾に思います」と述べた。
東京新聞は、映画の中に出てくる集会について報道したが、のちに記事を訂正した。
指摘された記者は、質問に立ち「私の書いた記事の原文はそのままです。タイトルはたしかに誤読させたとして修正しました」などと応答。反対に、なぜ西広弁護士に謝罪していないのかと問うと、伊藤さんは驚いた表情を浮かべ「私は西広さんに4回も謝罪してますよ」とする応酬があった。
●防犯カメラ映像「映像がなければ作品ができていなかった」「映像の力」
会見では、性被害の現場となった防犯カメラの映像の扱いについて言及する時間が費やされた。
伊藤さんは、サバイバーとしても、監督としても、防犯カメラの映像を映画に「入れておきたかった」という。
「(ホテル側に)許諾を取ろうとしていたが、なかなか許可を得られず、CGで加工して、ホテルの内装や外装、タクシーの形などを加工しました。私たちの動きは変えていません。それを変えてしまうと、なにが起きたかもかわってしまうからです。サバイバーとしてこれが唯一の証拠なのです。
やっと防犯カメラの映像を見つけて、それが裏付けとなって捜査が進みました。これがなければ、作品自体できなかったと思います。細かく自分で言葉で伝えるのではなく、映像で伝えたかった」
映画に防犯カメラの映像が不可欠だったとする一方、伊藤さんがホテルから歩いて出てくる 映像がネット上に流出したことで、「『被害者じゃない』と言われるようになった。それは映像のひとつの力だと思います」。
入手できたのは、ホテルのほかは、民事訴訟の双方当事者だけであるとしたが「誰が流出させたかは知りません」(伊藤さん)。

