妊娠中、いつものようにゴミ出しをした翌日、自分の袋だけが回収されずに残されていました。貼られていたのは「ルール違反!」という赤いシール。「きちんと分別したはずなのに、なぜ?」すると、思いもよらない事実が判明したのです。
ルール違反はしてないのに…
数年前、私が第1子を妊娠していたときの話です。体調が良い日は運動不足解消も兼ねて、私がゴミ出しを担当していました。
ある日、マンションのゴミ置き場の前を通ると、私が昨日出したはずの袋がポツンと残されていました。そこには「ルール違反! 回収不可」の赤いシールが。半透明の袋の結び目は、私のやり方そのもの。きちんと分別したはずなのに、と納得がいかず、その場でしゃがみ込んで袋を確認することにしました。
袋をよく見ると、赤いソースのようなものがこびりついています。嫌な予感がして開けると、案の定、汚れたままのコンビニパスタの容器が入っていました。容器の底には、ミートソースがべっとり。これは夫が昨日食べていたものです。犯人は一瞬で判明しました。
帰宅した夫に、その汚れた容器を見せて詰め寄ると、夫はキョトンとした顔で答えました。プラスチックだからプラごみに入れた、ゴミの日だったからシンクに置いておくより直接入れた方がいいと思った、と。
私は目が点になりました。プラごみは洗ってから出すものだと説明すると、夫は本気で驚いた表情で「えっ、洗うの? でも、どうせ捨てるのに? 工場で洗うんじゃないの?」と聞き返してきました。
そこで私は気づいたのです。夫は、私が毎日食後にシンクに並んだプラ容器を洗って、乾かして、ゴミ箱に入れていることを、全く認識していなかったのだと。夫はシンクに置いてあるのは食べ残しを捨てるためだと思っていて、まさか全部洗っているとは知らなかったと言いました。
夫にとって、ゴミ出しとは袋をまとめることと集積所に運ぶことだけ。その前にある「洗う・乾かす・分別する」という工程は、完全に『名もなき家事』になっていたのです。
妊娠中で体が重い私が、毎日コツコツとやっていた作業。それが夫の視界には入っていなかった——そう思うと、少し悲しくもありました。でも同時に、「言わなきゃ伝わらない」ということも痛感しました。
その後、2人で管理員さんに謝りに行き、事情を説明しました。この一件以来、夫は「プラごみは洗わないとゴミ!」と学習し、食べた後は自分で洗ってくれるようになりました。
良かれと思っての行動が、実はルール違反だった。夫婦の間には、言葉にしないと伝わらない常識の壁がある。でも、この出来事があったからこそ、夫は「名もなき家事」の存在に気づいてくれました。
今では率先してプラ容器を洗ってくれる夫を見るたび、「あのゴミ騒動も悪くなかったかも」と思えるようになりました。小さなトラブルが、大きな変化のきっかけになることもあるのだと、今ならわかります。
著者:西川瑞希/30代女性/最近マイホームを建てた2人の子どもを育てるアラサーママ。趣味はお菓子作り。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)
※生成AI画像を使用しています

