高齢者に多い「打撲傷」 軽い衝撃でも起こりやすい理由を医師が解説

高齢者に多い「打撲傷」 軽い衝撃でも起こりやすい理由を医師が解説

打撲傷の治療

打撲傷の治療は安静(Rest)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の頭文字をとったRICE治療が有名ですが、近年ではPOLICE治療が浸透しています。POLICE治療は保護(Protection)、適切な負荷(Optimal Loading)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の頭文字をとった治療です。

POLICE治療はRICE治療とは適切な負荷を与えるという考え方が異なります。RICE治療のように安静治療を中心にすると、過度な安静によって症状が悪化する可能性もあるため、適切な負荷量で患部を動かす考え方が浸透してきました。

POLICE治療は松葉杖などを使って足に無理のない負荷をかけることなどが当てはまります。痛みの程度に応じて患部に負荷をかけることで、血流が促進され、組織の修復が早くなることが期待できます。

コンパートメント症候群や慢性硬膜下血腫に至った場合は、外科的な手術が必要になる可能性があります。コンパートメント症候群であれば整形外科、慢性硬膜外血腫であれば脳神経外科で患部を切開し、圧迫の原因になっている血腫などの除去が必要です。

打撲傷になりやすい人・予防の方法

打撲傷になりやすい人はラグビーやサッカーなどの接触が多いスポーツをしている人です。接触による外力が打撲傷につながる可能性があります。また、加齢によってバランス能力が低下している高齢者も転倒による外力が打撲傷を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

打撲傷を予防するためには、身体に過度な外力がかからないように注意しましょう。接触が多いスポーツであれば身を交わす術を身につけ、転倒の際に衝撃を吸収できるように受け身の練習をするなどの工夫が必要です。

高齢者で転倒リスクがある人であれば、転倒しないようなバランス練習が大切です。歩行の際はT字杖を使用するなど転倒しないような工夫をし、外力を最小限に抑えることで打撲傷を予防できます。


関連する病気

打撲創

コンパートメント症候群

慢性硬膜外血腫

骨折

捻挫

外傷性骨化性筋炎


参考文献

救命救急ガイドライン2005

日本創傷外科学会 打撲創

日本救急医学会 コンパートメント症候群

日本脳神経外科学会 慢性硬膜外血腫

配信元: Medical DOC

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