パーキンソン病を発症すると姿勢にどのような特徴が現れる?Medical DOC監修医がパーキンソン病患者の姿勢の特徴・姿勢反射障害になる原因・なりやすい人の生活習慣・予防法などを解説します。

監修医師:
神宮 隆臣(医師)
熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。診療科目は脳神経内科、整形外科、一般内科。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す
「パーキンソン病」とは?
パーキンソン病は、脳の「黒質」という部分でドパミンをつくる神経細胞が減少することで起こる神経変性疾患です。
動作が遅くなる、筋肉がこわばる、震えが起こるといった運動症状のほか、姿勢の保持が難しくなる「姿勢反射障害」など、転倒につながる症状も特徴の一つです。進行とともに歩行や日常生活の動作が不安定になりやすく、早期からの治療やリハビリが重要です。
パーキンソン病を発症すると姿勢にどのような特徴が現れる?
パーキンソン病の方では、以下のような姿勢の変化がみられることが知られています。
姿勢反射障害が起こる
姿勢反射障害、つまり姿勢を保つことが難しくなる症状で、パーキンソン病の特徴の一つです。姿勢反射障害が起こると、つまづいたり、バランスを崩したりするなど、ちょっとしたことで転びやすくなってしまいます。そのまま転倒してしまうこともあります。姿勢の不安定が原因となる転倒は、パーキンソン病患者の約6割にみられるという報告もあります。
腰が曲がる
前傾・前屈姿勢になることも、パーキンソン病に特徴的な症状の一つです。早期の段階のパーキンソン病であれば抗パーキンソン病薬の投与や運動療法の効果がみられますが、進行している場合には姿勢の改善効果が十分に現れないことも多いです。
身体がどちら一方に傾く(斜め徴候)
パーキンソン病では、左右いずれかに体が傾く「斜め徴候(Pisa症候群)」が起こることがあります。重心が片側に寄るため転倒のリスクが高くなり、長時間の歩行や立位が難しくなる場合があります。
首が下がる
首が前に垂れ下がる「ドロップヘッド」も見られることがあります。頸部の筋力低下や筋緊張の異常が背景にあり、視野が狭くなることで歩行中の障害物に気づきにくくなるなど、転倒リスクがさらに高まります。

