パーキンソン病の姿勢反射障害を軽減するリハビリ
パーキンソン病による姿勢反射障害があると、立つ・座る・歩くといった日常の動作でふらつきやすくなります。そして、いったんバランスを崩すと元の体勢に戻りにくくなります。
また、身体が硬くなり、筋力が落ちていると、さらに姿勢の調整が難しくなります。そのため、身体の柔軟性を保ち、筋力の維持や向上が重要です。[1]
ここでは、パーキンソン病の姿勢反射障害改善のためのリハビリテーションやトレーニングを紹介します。
これらは、病院などの医療機関や、訪問リハビリとして自宅などで行われます。[1] 自宅でも行うことができるトレーニングもあります。理学療法士などのリハビリ担当者や、主治医と相談しながら、自分自身に合った運動に取り組むことが大切です。
ストレッチ
背中の筋肉を伸ばすような運動をして、前屈みになり転びやすくなることを予防しましょう。
壁に向かって座り、両手を壁につけ、窓拭きをするようなイメージで手を徐々にあげるようにします。立った状態でも運動ができます。壁を背中に向け、前屈みにならないように気をつけながら背中を壁につけていきます。
筋力訓練
背中を伸ばす力を保つ運動もあります。うつ伏せに寝転び、両肘を床についてできるだけ顔を上げます。左右交互に手を伸ばし、伸ばした手を見るようにします。次に、左右交互に足を持ち上げます。
リズムや音楽に合わせた歩行訓練
パーキンソン病で姿勢反射障害や歩行障害がみられる場合には、外からの合図(キュー)を利用したリハビリが有効とされています。代表的な方法として、音楽や一定のリズムに合わせて歩く訓練や、床のラインなど視覚的な合図を使った歩行練習があります。これらの訓練は、小脳や運動前野といった動きを調整する脳の回路を活性化すると考えられており、患者さんがより効率よく動作を学習できる点が特徴です。
実際に、リズムに合わせて歩く練習は、自分のペースで歩く場合と比べて、歩く速さや歩幅などが有意に改善したという報告があります。そのため、姿勢反射障害を伴うパーキンソン病の患者さんにとって、こうした外部の合図を取り入れたリハビリは試す価値が高い方法といえるでしょう。
バランス練習
パーキンソン病では、立ち上がりや方向転換、歩行の開始などの姿勢の切り替えが難しくなるため、バランス能力そのものを高めるトレーニングが重要です。例えば、片足立ちを短い時間だけ練習するなどの方法があります。
動作観察治療
運動やバランスの取り方を映像で見て、その動きをまねして実際に行うリハビリ方法があります。これは、私たちが誰かの動きを見るだけで脳の中の、まねる神経(ミラーニューロン)が働き、動きを学びやすくなるしくみを利用したものです。
パーキンソン病の患者さんでも、この「動作観察治療」がリハビリに役立つ可能性があると考えられており、実際に姿勢やバランスの改善に取り組んだ研究も報告されています。
パーキンソン病を予防する可能性の高い食べ物
現時点では、パーキンソン病の治療や予防効果が実証されている特定の食べ物はありません。しかし、以下のような食品はパーキンソン病の予防につながる可能性があります。
果物や野菜
パーキンソン予防には、果物や野菜、単純炭水化物を少量のみ含む低加工食品を中心とし、旬の新鮮な食材を取り入れた食事が推奨されつつあります。なお、単純炭水化物は、体内に入るとすぐに吸収され、血糖値を上げやすい炭水化物のことです。上白糖やグラニュー糖などがあり、清涼飲料水やジュースに多く含まれます。
ナッツ類
ナッツには、不飽和脂肪酸が高濃度に含まれています。また、食物繊維やビタミンB、ミネラルなど抗酸化物質も豊富に含まれます。ナッツがパーキンソン病発症のリスクに及ぼす影響はまだ研究中ですが、脳の血管保護などの作用によって、パーキンソン病でもみられうる認知機能の低下を軽減する可能性があります。
コーヒー
コーヒーには、カフェインに加えて、抗酸化作用を持つテオフィリンやフラボノイド、タンニンなどの化合物が含まれています。
パーキンソン病患者さんを対象にした研究では、男女差なく、便秘や排尿障害、精神障害などの非運動症状の改善がみられたとされています。一方で、パーキンソン病のリスクの低下は、男性ではカフェイン摂取との関連がみられますが、女性では当てはまらないかもしれないとされています。今後の研究結果が待たれるところです。

